生活保護を受けている一人親の世帯に支給されてきた「母子加算」の復活協議が難航している。
今年3月末に廃止された母子加算に代わる形で導入した「新制度」の扱いに、政府内で意見の隔たりがあるためだ。当初は10月に母子加算を復活させる方針だったが、年内復活も微妙な情勢だ。
母子加算を復活した場合、必要となる年間約180億円の財源は、「予備費で対応が可能」(藤井財務相)という。長妻厚生労働相ら厚労省の政務三役は新制度の存続と母子加算復活の両方を狙っているが、政府内には異論も多い。
母子加算は都市部では月額約2万3000円が支給された。代わって導入された「新制度」は、子どもの年齢や仕事の有無などに合わせて支給額が変わる仕組みだ。具体的には、子どもの授業料などを対象とした「高等学校等就学費」(1人あたり月約1万5000円)、親が働いている場合は最大月1万円、職業訓練をしている場合は月5000円を支給されている。
新制度では病気で働けない場合などには、支給総額が母子加算を下回ってしまう。与党内には、「景気は低迷しており、母子加算と新制度の両立が必要だ」との意見が根強い。一方、財務官僚は、「母子加算に代わる制度を、母子加算復活後も続けるなど、予算編成の常識が分かっていない」と反発する。
与党は予備費の活用による年内の母子加算復活を目指す姿勢を変えていない。だが、復活法案と合わせ09年度第2次補正予算案を年明けの通常国会に提出することも視野に入れ始めており、復活時期は見通せない状況だ。