亀井静香のアパルトヘイト宣言
 さて、永住外国人地方参政権のほうもモゾモゾと動きが起っているようだ。個人的には、今国会上程の案がどういうかたちで「永住外国人」の範囲に制限をかけるのかに注視したいところである(これについては以下の記事を参照のこと)。
    「多民族社会」日本の構想

 ところで、これと関連して与党・国民新党の亀井静香が以下の発言をしたとのことである。

 「地域によって在日外国人比率が高い地域がある。日本人が少数民族で、自分たちの意志が地方政治に反映されないという心配、不満が出てきても困る」

 一読してわかるように、亀井はここで日本人が「少数民族」であるような地方自治体が存在し、そこで在日外国人が選挙権を握った場合に日本人の意思(意志ではないだろう)が地方政治に反映されないことを危惧している。逆に言えば、ここで亀井は日本人が「少数民族」でありつつも政治的権利を掌握している地方自治体が存在していることを認めているのである。この発言を聞いて頭に浮かぶのは、南アフリカ共和国で1991年まで続いていたアパルトヘイト(人種隔離)政策である。

 そもそも日本人が「少数民族」(というからには49%以下なのだろう)であるような地域が存在するのかどうか疑問だし、実際には「永住外国人」に限っているうえ、これまで上程された法案と同様なら朝鮮籍はさらにここから排除されるわけだから、大した数にはならないだろう。ただそれは大した問題ではない。別にそういう地域があったっていい。

 むしろ日本国民が当該自治体内人口の50%未満であろうがなかろうが、外国人を「住民」として捉えるのが外国人参政権の基本的発想なはずなのだから、当該外国人住民がどこの国籍であろうが(もちろん、朝鮮民主主義共和国の国民であっても)、どんなに数が多かろうが、特に関係は無いはずである。

 逆に、もし実在するならの話だが、こういう事実(相当多数の住民に政治的権利が存在しない事実)というのは地方参政権推進派が挙げるべき事実だろう。だが、そこは愚鈍な抵抗勢力・亀井である。仮に日本人が「少数民族」になったとしても政治的権利は渡さないぞ、というアパルトヘイト宣言を先取りして公表することになった。

 ただ、一概にこれを「愚鈍」といえないところに、日本の現状の不気味さがある。外国人参政権法案が上程されない、という可能性を一応脇におくならば、連立政権内で亀井のようなアパルトヘイト派を説得する必要があるわけで、その際に法案がどういう形のものになるか、興味深い。外国人住民が全住民中何%を越える地方自治体では施行しない、という条項でも作るのだろうか。
by kscykscy | 2009-09-23 05:43
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