すとう信彦 & his band

社会起業家(チェンジメーカー)首藤信彦の日常活動とその仲間たち

ある軍事評論家の死

2009-10-12 21:15:01 | Weblog
軍事評論家の江畑謙介氏が死去した。同じ専門分野だからもちろん良く知っている。1990年の湾岸戦争というものは、自国に関する限り、これまで戦争なんて死語だと思っていた日本に大きな衝撃を与えた。日本には本当の意味で、軍事専門家などはいない、また出てこないだろう。そのなかで、一応、擬似専門家としての役割を果たしたのが江畑さんだった。軍事情報誌のジェーン年鑑のエージェントというような役割で、日本には入ってこない情報をジェーン側から手に入れて、専門家としての評価を獲得した。それでも、でたらめな評論家に比べれば、はるかに中立的で高いレベルの情報提供だった。軍事オタクという言葉もこのころから出てきたが、江畑さんはある意味、そのハシリのようなものだった。まったく紛争地や実際の戦場に足を運ぶこともなく、兵器という切り口だけで戦争を論じる、日本にしか生まれない特異な軍事評論家だった。
それでもお互いに専門家として尊重しあい、もう10年近くになるがクラスター爆弾問題などでは、NGOの講演会にも講師として来て貰ったこともある。しかし、その後は政治、特に与党への傾斜が激しく、政府見解の応援みたいなことを軍事専門家のタイトルで行っていた。次第に自民党べったりになってきて、数年まえに会ったときには、自民党のプロパガンダの集会やイベントにも政治家に寄り添って立つようになった。きっと政治の世界にでていきたいんだなあ..と思ったことがある。軍人じゃあるまいし、評論家が皮の防寒服などを着てイベントに並んでいる姿をみて、悲しい思いをしたことがある。しかし、それでも60歳という若すぎる死を悼みたい。かって電話で講演を依頼したとき、ともかく生きていくためには、ひたすら原稿を書かなければならないみたいな理由で断ってきたが、やはり文筆だけでは生活は苦しかったのかもしれない。心よりのご冥福を祈りたい。
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