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2009-10-07
健保組合、3千億円超の赤字 |
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高齢者医療費拠出金が影響 新政権に望みたい制度の検証 |
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健保組合の2008年度決算が全国1497組合の総計で3060億円の大幅赤字となり、赤字組合が全組合の約7割に達したことが健保連の集計で明らかになりました。増加する一方の高齢者医療費を誰がどのように負担していくか、医療保険制度の持続性を見据えた議論が必要です。
集計によると、同年度の経常収入総額は6兆3717億円、加入者への保険給付費や高齢者医療制度への支援金・納付金などの経常支出は6兆6778億円で、収支は3060億円の赤字。前年度と比べ健保組合財政は一気に3660億円悪化した計算です。
保険料の基礎となる標準報酬月額・賞与が前年度比でそれぞれ0.06%、2.1%減少するなど保険料収入が伸び悩むなか、高齢化を背景に医療費が増加しているのが大きな原因。08年度は、同年度に発足した高齢者医療制度への負担金が前年度比18.31%と急増したことが巨額赤字につながりました。
75歳を年齢区分に、65歳以上の医療を「前期」「後期」の2制度で支える現行制度は、その財源構造に大きな特徴があります。
独立した制度の後期高齢者医療制度の財源は、給付費の5割を公費で負担。これに対し、「前期制度」の給付費は、その全額が医療保険制度間の財政調整財源(各制度の前期高齢者の加入者割合が同率として費用を分担)で賄われます。給付費に国庫が全く連動しない点で、小泉政権下で進められた「財政構造改革」(国庫抑制)を色濃く反映した仕組みと言えます。ただ、一方で、こうした施策が医療保険や高齢者医療制度の持続性に大きな影を落としていることだけは確かです。
現実問題として、健保組合の08年度の「前期制度」への負担金は1兆4713億円(高齢者医療制度負担金の53.6%)。前年度と比べた増加率は28.6%に達します。
高齢者医療制度の改革問題は、8月の衆院総選挙でも争点になり、民主党は「後期高齢者医療制度の廃止」を主張。自民・公明両党は「現行制度の枠内での改革」で応じるなど、政治レベルでの議論は入口で鋭く対立しました。
日本の高齢化率は08年度で22.1%。同年度の65歳以上の医療給付費割合は約51%。25年度にはこの割合が3分の2を占めることになり、この間に現役層の負担(公費・保険料)は約9兆円増加すると推計されています(財務省資料)。
高齢者が増加し支え手が減少するなかで、現役層の加重な負担をいかに避けるかは、与野党共通の課題のはずです。新政権に求められるのは、国民皆保険制度を将来的に揺るぎないものにするためには何が必要かを国民に示し、その具体的な改革の道筋を明らかにすることです。国民の信託に応える政策判断が問われていると言えるでしょう。
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