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捨て猫ヨタの物語


                        よたを拾った日


     よたは由緒正しき雑種である、しかも野良種というたくましき野生種の血筋である。

    雑種だがおりこうさんである。色は茶色なのだがこんな色にはならなくてよかった、

    なぜ利口なのかと言うと、生まれてから私のことしか見てきてないからだ。そう、この世

    生まれたその日からの付き合いである。

     平成9年6月19日、私の誕生日の5日後のことである、その日私はライブハウスで朝

    まで歌いまくって、飲んで、隣りのねーちゃん引っかけての爆飲モードであった。その頃

    私は癌の発病後であったし、UCCでサラリーマンの修行中の身であった。

    死の恐怖からなにせストレスが溜り、不摂生しまくり、大酒を毎晩毎晩毎晩毎晩飲み

    まくっていて、流行のRPGのゲームなんか私にさせようものなら、「何で王様の言いなり

    ならんとアカンのじゃ〜!こうなったらモンスター身方に付けてクーデターおこしてやる!」

    などと激怒してたに違いない。だから休みの日はストレス発散のいい機会であった・・・。

すっかり出来上がって「ララバイ・オブ・ユー」を熱唱!

この後とんでもないことが起きるなんて知るよしもない

のだ〜っ!!


     朝も8時になり皆で行き着けの飲み屋から自転車でいつものように新宿から中落合まで

    帰ってくる途中何やらビニール袋が動いてる・・・、「飲みすぎたかぁ・・・」と思いながら目を

    ゴシゴシこすってみると・・・、「やっぱり袋が動いてる!」。ごみ捨て場の横の木の根元に

    無造作に置かれたスーパーの袋はモゾモゾと動いているのである!この時自分に湧き出た

    感覚は「恐怖」である、動くはずのないものが動くのであるからそりゃ怖いはずだ。自転車

    を止めて近寄ってみると、「みぃ〜、みぃ〜・・・」と、か細い泣き声が・・・。 

15日後の写真、4匹をひとかたまり

で持てるのである。


     何が入っているのかは瞬時にわかった。袋は何重にも結ばれていた、「ええい!くそおっ!

    指を突き刺して袋を開けてみると、生まれたばかりの子猫が4匹・・・。しばらくは呆然と袋

    ごと子猫を抱いていると、中学生くらいのガキが後ろを通りかかって自転車を少しだけ止めた、

    そいつと目があった瞬間、「ふっ!」と鼻で笑い、ニヤニヤしながらそのクソガキは走り去った。

     家に持ち帰りその当時付き合ってた彼女に一言、「何でこんなことする奴いるんだよ〜!!」

    彼女も唖然である。とりあえず、自分の知ってる範囲で対処するしかない、まずは知ってるペット

    ショップに電話するが出ない、まだAM8時半である、、生まれたばかりの子猫4匹となると

    勝手が違う。おそらく生まれて5時間程、(親猫は必ず朝には生まない)ペットショップが開く

    11時までの8時間という時間は、この子猫たちを衰弱させるのに十分すぎる時間だ。

             そこで、強引ではあったが非常手段に出たのであった!



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