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テーマ:がんばる / 『お母さんはカッコいい』 |
わんぱく大賞
(最優秀賞) |
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北海道/札幌市立月寒東小学校 3年
瀧田 小麦 (たきた こむぎ)
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毎朝七時半、小さなかがみの前で、お父さんとお母さんが、おし合いながらネクタイをしめている。お父さんが二人いるみたいだ。
お母さんは交通しどういんで、八時にわたしの通う小学校の前に立っている。少しおくれて、わたしはお父さんと家を出る。
朝、わたしとお父さんが、ねぼうをしてオニみたいにおこっていたお母さんは、交さ点にいる子どもたちには、やさしくわらって話しかけている。見ていてわたしは少し、かなしくなる。
ある日、台風みたいな天気になった。もうすぐ下校時間なのに、かみなりも大雨もやまないこわくて、ないている子もいる。
学校のげんかんには、心ぱいでむかえに来た、たくさんのお母さんたちがいた。
友だちのお母さんは、けしょうをしてスカートをはいて、きれいな色のかさをもって来たけれど、わたしのお母さんは、しどういんのせいふくに、白いカッパをきて、ずぶぬれになってやって来た。お母さんだけカッコわるいと思った。
「お母さんはこれから、交さ点に立って家の遠い子につきそって行くから、小麦は車に気をつけて一人で帰りなさい。」
そう言うとお母さんは、外にとび出した。
かみなりがまぶしく光って、大きな音が体にひびく。わたしはこわくて、交さ点にいたお母さんにかけよりしがみついたけど、お母さんは
「かみなりは高いところに、おちるんだ。
お母さんは、せが高いから、おちるなら小麦におちないでお母さんにおちる。だいじょうぶだから、早く家に帰りなさい。」
と、どなった。わたしは一人で走った。
走るわたしの目に雨がたくさん入ったけど、なみだの方が多くて、目から雨をおい出した。
夕がた、お母さんが帰って来た。頭もくつ下もパンツも、びしょびしょだった。お母さんは、きがえながら言った。
「がんばるって、きれいでカッコいいことばかりじゃないんだよ。さあ、こんどは小麦のためにがんばろうか。」
お母さんが、あたたかいココアを作ってくれた。二人で体をくっつけてのんだ。
でも、牛にゅうが、にが手なお母さんはすぐに、おなかをこわした。
トイレからなかなか出て来ないお母さん。かみなりのつぎにトイレでたたかうお母さんが、わたしにはとてもカッコよく思えた。 |
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