最後は“満塁アーチ”だった。フリー打撃の締めくくりは二死満塁を想定。松井秀の打球は、右翼席の壁に当たってグラウンドにはね返った。
「チームとしても非常に相性のいい球場ですし、ボク自身もここではいい結果が出ている。状態としては悪くない。期待できると思います」
東京ドームに似た敵地のメトロドームでの地区シリーズは、ゴジラにとっていい思い出ばかりだ。1勝1敗で臨んだ03年の第3戦。日本人大リーガー初のプレーオフ本塁打となる先制2ランで、王手をかけた。翌04年の第3戦も本塁打を含む3安打。両年とも、この敵地でシャンパンファイトを経験した。
連勝で迎える第3戦のツ軍先発は、カール・パバーノ投手(33)。05年から4年間、総額3995万ドル(約36億円)でヤ軍に在籍したものの故障や交通事故で通算9勝8敗に終わった。「FA補強で最も失敗した選手」として挙げられるが、松井秀にとっては05年の旧ヤンキースタジアムでロッカーが隣だった元同僚でもある。
「両サイドを非常に丁寧に突いてくる。変化球のキレがいいし失投が少ない。投球術にはまらず、我慢して待つことが大切だと思います」
パバーノとは、03年のワールドシリーズでの対戦を含め9打数2安打。数少ない失投が来るまで我慢できたとき、3連勝でリーグ優勝決定シリーズに導くアーチが飛び出す。