流れ星
東京では、夜空に星はあまり見えない。見えないけれど、星々はそこに確かに存在している。

昔の人々は、夜空に輝く星を見て、いったい何を感じていたのただろう。電気もない世界では、夜になると急に暗くなり、その無限に感じられる暗闇の先に広がる宇宙空間や空に輝く様々な星の明るさやかたちに神秘を感じ、天文学という学問は始まった。その古代の知恵のかけらが、今現在、星占いと言われるものの基になっている。

日本はどうか分からないが、外国では星の見える場所が、高校生のデートスポットである。彼女と一日デートをして、公園で一緒に星を見るころ、デートは終わりに近づいている時間だ。彼はどうしても別れる前にkissしたいと思う(笑)。でも、なかなかきっかけをつかめない。そうした時、彼は夜空を見上げて黙り込む。心の中では、彼女がいつ話しかけてくれるかな、と思ったりしているのだが。次の瞬間、彼が「あっ!」と叫ぶ。突然の声にびっくりして、彼女が「どうしたの?」と聞いても、彼は何も言わずび答えをごまかすだろう。でも、彼はやっぱり最終的に言ってしまうのだ。「流れ星」を見たと。。。

流れ星を見ると願いことが叶うと言う。この二人の場合、願いことは明らかになっているので、この後、ハッピーエンディングになる。

流れ星は、夜空に急に現れて一瞬で過ぎ去ってしまうように見える。けれど、実は僕らは広い宇宙の中で旅をしている流れ星の一瞬を切り取って見たに過ぎない。たまたま僕らがいる上空に現れて、流れてなくなったと思っていても、僕らからは見えない宇宙のどこかで旅を続けているのだ。流れ星がなくなってしまう、と言う発想は、地球から見た視点にしか過ぎず、宇宙の視点で見ると、人間の旅、及び生活と同じで果てしない旅の瞬間だったということなのだ。

僕は、年明けから出張でアメリカに行っていたが、その間に、仕事仲間でもあり、大切な友人でもあった月本裕氏が亡くなったと聞いた。彼は「ソトコト」誌で僕についてコラムを書いてくれたり、一緒に飲みに行ったり、彼の紹介でいろいろな面白い人に出会ったり、いつも僕のことを大切にしてくれた。まだ47才という年齢でなくなったと聞いたとき、僕はとても驚いた。

彼は、僕らの世界から急にいなくなってしまった。でも、月本氏の存在が失われたわけではない。僕の目から見ると、月本氏と僕が一緒に過ごした時間も、この「流れ星」と同様であり、長い旅の途中に僕らは出会い、そして僕らに温かさや知識、経験や出会いを与えたくれたのだと思う。彼は、僕に会う度、こういっていた。「セルカンが日本にいることは、私にとって大切なことだ」。

僕もそう思っている。彼と出会えたことはとても大切なことであった、と。

まだまだお互い長い旅の途中だ。宇宙のどこかで、僕らはまた会えるかもしれない。

月本裕(1960−2008)
今年初の雪
1月4日から出張のため、アメリカに来ています。片道10時間以上、飛行機に乗ってやってきたもの、滞在はたったの三日間(笑)年に一回行われるAIAA協会デザインエンジニアリング委員会に参加したり、NASAの打ち合わせがあったり、いつもながら慌ただしいスケジュールです。

今回、AIAAが行われた場所は、アメリカネバダ州のレノ市。日本ではあまり知られてないようですが、ここは小さいラスベガスと言われていて、山の中にある町です。ロスから飛行機で1時間半で行くことができます。約18万人が住んでいるリノ市に着いたら、そこは一面の雪景色。思えば、今年初めての雪です。雪が降ると、町が白く輝いてすごくきれいに見えます。

レノ市の雪景色
ちょっとAIAAの説明をしましょう。AIAAとは、アメリカにおける宇宙開発分野の協会であり、デザインエンジニアリング委員会とは、世界中の研究施設から約30人のメンバーが集められていて、宇宙環境でのデザインに関する分野(人工衛星、ロケット、ライフサイエンスなど)の研究全体を調整し、研究結果が発表される学会を開催、運営する組織のことです。僕は、2004年からこの委員会の技術開発・教育担当に任命されています。今年度に開催、運営される学会の中で、技術や教育に関係するイベント・パネルを行い、そこでどのように自分たちの意見や経験を役立てることができるか、を相談しました。

結果、僕は6月にサンフランシスコ、9月末にスコットランドで行われる学会のサポートをすることに決まりました。できれば、9月末に合わせて面白い論文でも書きたいと思っています。今回は、僕ら委員会メンバー以外、他の人たちとも交流をはかることができ、何より僕がしているインフラフリー研究に大切な宇宙分野での循環型システム関係の研究者とも出会うことができたことはうれしいことでした。研究者にとって、互いの情報交換はとても重要なことです。

夕方遅い時間まで残ったメンバーと、セルカンブログ用の記念写真(笑)
明日も委員会は続くのですが、僕は10日に東京理科大学で最後の授業を行うため、明朝の便で帰る予定になっています。2008年、これからどんなことが起きるのか、どんな出会いがあるのか、楽しみにしています。確かに、いいことばかりではないでしょう。けれど、起きる出来事はすべて、自分しかできないたったひとつの経験なのです。
明けまして。。。
明けましておめでとうございます。みなさん、どのような新年をお迎えになりましたか?2008年もより良い年でありますようにお祈り申し上げます。

2007年12月31日、今年お世話になった友達15人位と僕の家でパーティーをしました。その前日の朝、僕は母に電話をし、子供の頃一番好きだったトルコ料理で、調理したほうれん草の上にヨーグルトをかけて食べる料理の作り方を、電話代5000円を払って学び(笑)、それを作りました。

写真を撮る前になくなってしまいました。笑

昨年は、僕にとっては、新しい出会いが多くて、しかも日本国内や海外にもあちこち行く機会に恵まれ、今まで持ち得なかった知識を広げることができたよい一年でした。その分、予定していなかった出来事も多く、楽しいこと、悲しいこともありましたが、2008年はもっとうまくいくように頑張ろう、と思っています。

大晦日の一番早いゲストはトミー君ファミリー。11次元Tシャツのデザイナーでもあるトミー夫婦、今回は3人できてくれました。家族が、一人が増えたんだね。彼の息子は、顔が彼とそっくりです。笑 僕の家にあるE.T.と記念写真を撮ったりして楽しく遊びました。

家のE.T.と同じサイズの泰山君。笑

今年の年末もドイツの実家には帰れませんでしたが、1月4日からAIAA(米国航空宇宙協会)のデザインエンジニアリング委員会に参加するため、アメリカへ出張に行きます。僕はこの委員会の技術・教育委員会の担当であ、2008年度の国際学会や他のイベントのスケジュールや内容を組み立てる担当です。多忙な一年の幕開けになりそうです。

今年もよろしくお願い致します。
仙台 こども宇宙館
連休中、仙台を訪れました。そこで、仙台でアニメ「宇宙エレベータ」を上映してくれているこども宇宙館にも足をのばしてみることにしました。館長はじめ、スタッフの方々があたたかく出迎えてくださり、館内も案内していただきました。
ありがとうございました。

この施設自体は、年内で運営が終わるそうですが、僕自身はとてももったいないことだと感じました。特に、ロビーに設置されている宇宙エレベーターの模型や歴史など、大変わかりやすく展示されており、みなさんの熱意に感動しました。

ロビーでの展示の様子。
左上は、アーサー・C・クラーク氏。

新設される天文台に統合された後も、子どもたちが宇宙を知り、体験できような提案に是非取り組んでもらえたらと願っています。そして!僕もここで久しぶりに宇宙服を着てみました!?

どうですか?笑

仙台こども宇宙館では、27日まで「宇宙エレベータ」が上映されています。是非、お近くの方がおいででしたら、ご覧ください。
講演の報告
以下、講演のご報告を2つほどします。
12月は、ジェイカレッジとICC(NTTインターコミュニケーション・センター)で講演を行いました。

ジェイカレッジは、セミナーを通じて多様性の渦を起こし、そこから創造と変革の萌芽を生み出そうと企画された自律型の学びと成長の場です。
http://www.webook.tv/jcollege/archives/2007/11/
post_27/


アニリール・セルカンさんに聞く
「宇宙の視点から見た時間と空間のとらえ方」


ICCは「コミュニケーション」というテーマを軸に科学技術と芸術文化の対話を促進し,豊かな未来社会を構想していきたいとの構想のもと運営されている文化施設で、ヴァーチャル・リアリティやインタラクティヴ技術などの最先端電子テクノロジーを使ったメディア・アート作品を紹介すると共に、従来の形式や分類を超えた企画展を開催してきています。
http://www.ntticc.or.jp/Exhibition/2007/Exploring
Media/talk1216_j.html


ICC10周年記念セッション・シリーズ Vol.3 「Exploring Media」ミッション002:メディアを探索せよ!:Make|Future|Possible」

いずれも、僕の講演の軸は、「未来を今から創造する」という観点から行いました。企業人、アーチスト、デザイナーなど、それぞれの専門知識を自分だけのものと捉えず、お互いから学びあうオープンな関係、コミュニケーションがそこには必要となります。それをふまえたうえで、僕自身ができることは、科学のおもしろさをみなさんにお伝えする機会を増やしていくこと、そして僕の研究テーマである「インフラフリー」という世界を接点とし、科学と日常生活の架け橋となること、であると考えています。けれど、実はこうしたことは大げさな講演活動を行わなくても、個々人が自分の生活の中でできることも多くあるのかもしれません。まずは、目の前で関わっている人との尊敬しあえる関係性、すべての出発点はそんなささやかでありながら当たり前な日常から始まっていることなのです。

また、余談になりますが、僕の著書「宇宙エレベーター」が、なかなか手に入りにくい、というお話を伺います。品薄状態だと出版社からも聞いています。今ですと、ICCのショップにまとまった冊数を取り扱っていただいています。こちらには「タイムマシン」もありますので、書店やアマゾンで日数がかかってしまう場合、展示をご覧になりついでにICCショップへお立ち寄りいただければと思います。
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