「WBC世界Sバンタム級タイトルマッチ」(10日、代々木第二体育館)
WBC世界Sバンタム級王者・西岡利晃(33)=帝拳=が、挑戦者イバン・エルナンデス(26)=メキシコ=を3回終了TKOで下し、3度目の防衛に成功した。3回に西岡の左フックでエルナンデスがあごを負傷し、試合放棄。骨折の疑いがあり、試合後に病院に直行した。西岡は、具志堅用高、渡辺二郎、長谷川穂積(真正)に次ぐ史上4人目の3試合連続KO防衛を達成した。
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3回、西岡の左フックがエルナンデスのあごをとらえた。右フックをかわした直後のカウンターパンチ。「思い切り入りましたね。こういうふうにガツンという感じで」。感触を思い出すように左フックを打つジェスチャーを交えて、衝撃の瞬間を表現した。
一撃で試合が決まった。青コーナーに座ったままのエルナンデスは、4回のゴングに応じずにギブアップ。トレーナーによると、3回終了後に青コーナーに戻ってきた時、あごの痛みを訴えたという。都内の病院に直行し、検査した結果、下顎(かがく)骨骨折と診断された。
同僚のリナレスが衝撃的なKO負けを喫し、場内には不穏な空気が漂っていた。「プレッシャーはあった。会場の雰囲気があまり良くなかったし…。ボクシングは、何があるか分からないスポーツ。だから自分自身の試合に集中した。これからという時に終わってしまい、お客さんには申し訳ない」と、圧勝に苦笑いを浮かべた。
33歳2カ月での世界王座防衛は、34歳8カ月の内藤大助(宮田)に次ぐ日本史上2位の年長記録となった。また、世界王座3連続KO防衛は史上4人目の快挙で、具志堅用高(6連続)、渡辺二郎(3連続)、4連続KO防衛中のWBC世界バンタム級王者・長谷川穂積(真正)ら名王者に肩を並べる大記録だ。
V4戦は、元世界2階級制覇で同級1位のラファエル・マルケス(メキシコ)が決定的。西岡は「次はマルケスと聞いている。ラスベガスでやりたいし、ロペスでもカバジェロでも誰でもいい。ビッグマッチをやりたい」と世界の強豪の名を挙げた。海を越えたところに、33歳が目指す夢がある。