札幌市に送り込まれる生活保護

 都会に住む方たちにとっては、このような地方の自治体の破綻は全く関係ない別世界の出来事と思われるかもしれません。しかし、決してそんなことはありません。実は、都市部に必ず悪影響が出ます。

 その一例が、札幌市の生活保護者の急増です。

 人口188万人の札幌市の2008(平成20)年度の生活保護関係の予算は983億円で、一般会計の12.5%を占めています。そして、今年になって申請は急増しているそうです。

 どうしてでしょうか。

 自治体関係者にお話を伺ってみると恐ろしい話を聞くことができました。景気の悪化ということはもちろんありますが、札幌市周辺の財政の厳しい町村役場の人たちが、生活保護に転落しそうな方たちに対して、「引っ越すお金のあるうちに札幌に転居しなさい」と勧めているのだそうです。

 これは自治体関係者の間では、公然の秘密です。それで、札幌市の周辺部の比較的家賃の安い地域に、そのような方たちが流入しているようです。

 なんとも恐ろしい話ですが、地方では暮らしていけなくなった人が都市部に流入しているのです。私の予想よりもだいぶ早いのですが、これが都市と地方・農村の関係です。

 中長期のスパンで考えると、地方が疲弊すると、都市部にも大きな悪影響が及ぶのです。都市部の景気がよく、生活保護のお金をいくらでも出せるほど余裕があれば、何の問題もないのですが。

 私は、かつて市長をしていましたが、これまで国、県、市役所に勤務した経験があり、今は社員数30人のベンチャー企業で働いています。また、今は横浜に住んでいますが、地方中心都市と人口9000人の山陰の過疎の町に暮らしたこともあります。地方も都会も、役所も民間も知っている。それが私の強みです。

 その経歴を生かして、地方で起こった事件や政府が発表した政策が都市部で暮らす方々にとってどのような意味を持つのかなどをお伝えしながら、時には自分の処方箋をご提案し、皆さんと一緒に解決策を考えられればと思っています。どうぞよろしくお願いいたします。

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