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注目記事

鳩山外交は本当にダメか

上杉 隆(ジャーナリスト)

相手にされなかった麻生首相

 鳩山内閣が発足する。海外から日本の政治への注目度も久しぶりに高くなっている。

 思えばそれも当然だろう。この4年間があまりにひどすぎたのだ。安倍内閣以降、国際社会のなかでの日本の評判は地に落ちた。鳩山内閣に求められる外交の仕事は、まずは信頼の回復である。

 2007年、ハイリゲンダム・サミットに出席した直後に日本の首相は辞任した。2008年、北海道洞爺湖サミットに出席した議長国日本の首相は、またしても辞任した。そして、ラクイラ・サミットでは、もは3人目の日本の首相は相手にされなくなっていた。

 日本の外務省が求めたバイの会談(2国間会談)は、ことごとく断られ、結局、議長国のベルルスコーニ・イタリア首相と、ロシアのメドベージェフ大統領が応じたにすぎなかった。意気軒昂にイタリアに乗り込んだ麻生首相が気の毒に映るほどだった。

 1980年代と90年代、G7の他国が揃って日本との首脳会談を求めたような時代にはもう戻らないだろう。その責任は、日本の首相にだけ帰すべきではない。相対的に国力そのものが低下したことを認めなければならない。

 ラクイラ・サミットでは、日本との首脳会談を断った各国の同じリーダーたちが、中国とのバイの会談を求めて交渉を繰り返していた。そして、胡錦濤国家主席がサミット開幕直前に帰国してしまっても、あらためて日本との会談を求める声は上がらなかったのである。

 世界第2位を維持してきた日本のGDPは、ついに中国に抜かれる直前まできているという。それがアジアにおける新旧勢力の交代のシグナルともなっている。現実は直視しなくてはならない。古今東西、盛者は必衰するのだ。

 それに、国力は人口にも見合う。10倍の人口の中国がGDPで世界2位になるのは時間の問題という見方もできる。逆に考えれば、中国のわずか10分の1の人口の日本が、よくこの長きにわたって2位をキープしてきたことを誇ってもいいのではないか。

 サミットでは、中国の代わりの価値もないと見なされた日本だが、それはたんに国力の減退による国際的な地位の低下だけが問題ではない。実際は、そこには目くじらを立てる必要はない。

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