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きょうのコラム「時鐘」 2009年10月11日
「出口戦略」という言葉をよく耳にする。為替安定で合意した先のG7共同声明にも「出口戦略の準備で協力」とあった
緊急時の金融財政策を平時に戻す戦略として使われることが多い。元々は米軍のベトナム戦争時に使われ出した言葉で、撤退のタイミングを探る意味が強い。進むか引くか。その見極めは戦国の昔から現代のイラク戦争まで難しい判断である 「井戸掘りて、いま一尺で出る水を掘らずに出ぬという人ぞ憂き」との道歌がある。もう一歩の努力すれば成功したものを途中で止めれば、それまでの投資が無駄になるとの教えである。一方で、傷口を広げない判断も大事であり結論は歴史の判断を待つしかない 鳩山政権の、無駄な公共事業の廃止や見直しもこれと似ているが、撤退すべきか進むかの決断以上に大切なのは、本当に出口に立っているかどうかの判断だ。「出口戦略」などとはおこがましく「出口が見えない」と表現すべき事例も少なくない 出口だと思っていたのに「二番底」の入り口だったという景気判断もある。勇ましく「戦略」と言うのが間違いの元かもしれない。 |