特別編の外伝、新作MOD登場編です。
ミもフタもありませんね。
あたし、タマミは、ジョウさんに助けられて逃げる途中、いつの間にか不思議な森に迷い込んでいました。
そこで私は、不思議な人に出会ったのです。
「たたた、助けて下さいいいいいいっ!!」
ジョウと共に淫獣隷奴たちの襲撃を逃れ、更にフィリスの乱入により窮地を脱したタマミ。
だが、走り疲れてふと周囲を見渡すと、そこは見た事もない、薄暗い森の中だった。
ここは何処?いつの間にこんな所に出たのだろう?
そんな事を考えるタマミの前に、一人の……一匹の、奇妙な怪人が出現した。
タマミはダークサタンの魔因子を受けた半獣人である。
その五感が、目の前の怪人が魔因子の波動を全く放っていない事を察知した。
だが、襲い掛かってくる怪人を前にして、タマミがその事実を認識できる筈もなく――
「いやああああっ!!放して放してぇぇっ!!」
『エサニ、ナッテ、モラウ』
「え、餌!?らめ、食べちゃらめえぇえぇぇ!!
あ、ああ、あたし、もうだめなんだ、食べられちゃうんだ、死んじゃうんだ…!
さよならジョウさん、できることならもう一度だけ腕まくらとか膝まくらとか添い寝とか舐めあいっことか擦り合わせっことか色々したかったですぅ……!!」
タマミが抵抗を諦めようとしたその時、落ち着いた、しかし凛とした声が響いた。
「はい、そこまで」
いつの間に現れたのか、一人の女が怪人の背後に立っていた。
『……!!』
その気配をようやく察知したのか、戦慄する怪人。
声のした方向を見やるため、身体を捻ったその瞬間――
『グ……ハッ……!!』
女の右拳が、怪人の鳩尾に突き刺さった。
指の付け根からは鋭い爪が伸び、怪人の腹を貫いている。
『……オ……ニ……』
崩れ落ちる怪人。
倒れた身体は、土に溶け込むように地面と同化していき、その痕跡も残さず消え失せてしまった。
「さて、と……」
怪人を一撃の下に倒した女は、タマミの背後を指さして言う。
「そのまま背中の方向に真っ直ぐ行くんだ。
そうすれば、この森から出られる。今度は迷うなよ」
「あ、あの……ありがとうございました。
あなたは、一体……?」
その人は、あたしの問いかけに軽く微笑んで、「シュッ」という爽やかな音を残して去っていきました。
あの森は、あの怪人は、一体何だったのか?それは、何も分からないままです。
後になって、あたしやジョウさん達は、あの人と再び出会う事になるのですが……それはまた、別のお話なのです。