「103万円の壁」−配偶者が働いても税金がかからず、かつ配偶者控除を適用できる収入の上限ラインが103万円(基礎控除38万円+給与所得控除65万円)であることをいいます。
配偶者控除については、これまで、専業主婦と働く女性との間で税制上の不公平、女性の社会進出を妨げている、といった問題が指摘された結果、2004年度の税制改正で、配偶者特別控除(上乗せ分)の廃止、個人住民税の非課税措置の見直しが行われることになりました。
税制が、配偶者の働き方に影響を与えないようにするのは重要なことです。同時に、様々な事情で働きたくても働けない配偶者への配慮も欠かせません。政府税調の提言には、その点についての言及が見られません。
連合は、配偶者控除と扶養控除を統合することを求めます。また、夫婦の所得を合算し、それを二分した金額を夫婦それぞれの所得として課税する「二分二乗制度」を創設し、配偶者控除との選択ができるようにすべきです。
また、女性の社会進出を進めるには、税制だけではなく、年金や健康保険の適用問題など、社会保障を含めた総合的な見直しが必要であることは言うまでもありません。政府は税と社会保障をあわせた改革を急ぐべきです。
二分二乗制度とは
二分二乗制度(夫婦合算均等分割制度)とは、夫婦が同じ収入を得たものとみなして、夫婦の収入を合算した上で合計収入を均等分割し、夫婦それぞれに課税するというものです。
連合は、配偶者控除を扶養控除に統合した上で、二分二乗制度との選択ができるようにすることを求めています。ただし、二分二乗制度は高所得層が減税となる問題が指摘されています。このため、一定の適用上限(給与所得1000万円以下)を設けるとともに、通常とは異なる税率を適用するといった調整を行うことが必要です。
(例)世帯収入600万円の場合(夫婦のみ世帯)
注) 増税額の試算は、給与所得控除が2/3に縮小、配偶者控除が廃止された場合として計算し、他の控除については考慮していない。社会保険料は一定の算式により概算。