中国、インド洋に勢力拡大 周辺国の港湾整備 橋頭堡か
2009/05/25 00:15更新
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【北京=野口東秀】中国がインド洋で影響圏の拡大を進めていることが、24日までに明らかになった。ミャンマーからパキスタンまで、ライバルのインドを包囲する形で港湾施設を建設し、将来的には中国海軍の“橋頭堡(きょうとうほ)”とする海洋戦略の一環とみられる。しかし、インドをにらむ中国の「真珠の首飾り」(西側外交筋)構築は、南アジアを自国の勢力圏とみなしてきたインドを刺激しかねない。
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記事本文の続き 中国は2007年からスリランカ南岸ハンバントタの港湾整備に十数億ドルを融資している。軍事的協力関係の深いパキスタンでも、南西部グワダルの港湾建設費の7割以上を負担したとされる。バングラデシュ・チッタゴン、ミャンマー・シットウェの港湾やミャンマーから雲南省に抜ける交通網の整備も支援。ベンガル湾に位置するミャンマー領のココ諸島、西部のラムリー島などに海上交通を監視できる通信施設があるとのうわさは根強い。
これらの港湾施設について、中国側は一貫して「商業目的」と主張している。しかし、22年に完成予定のハンバントタ港は、軍艦艇も燃料補給や修理に利用できる。ホルムズ海峡まで約400キロに位置するグワダル港は水深も深く、「(ここを押さえれば)戦略的に中国の利となる」(中国紙)という。
20日付の英紙デーリー・テレグラフ(電子版)は「公式には民間船舶だけを扱うことになっているが、将来、海軍基地として利用するというオプションを中国政府に与えている」「これらの施設は中国の海軍力を従来の沿海地域からインド洋に拡大させるかもしれない」と指摘している。
インド洋で「真珠の首飾り」のように連なる港湾施設は、海洋戦略を本格化させつつある中国にとって石油輸送路の確保というエネルギー安全保障の目的に加えて、「インド軍などの通信傍受や艦艇の動きを把握できるという軍事的側面を持つ」と米外交関係者は指摘した。中国が海賊対策のための艦艇をソマリア沖に派遣した目的も、「戦略的利益を持つインド洋にある」(香港誌)。
北京在住の軍事専門家によると、中国は石油輸送ルートのマラッカ海峡をにらんでミャンマーに数十億ドル規模の軍事援助を施している。北京在住の軍事専門家によると、最近、約25年に及んだ内戦が終結したスリランカとも、中国は07年に3500万ドル(約33億円)近い武器装備売買契約を締結し、戦闘機数機を無償供与した。
米国が07年に人権問題でスリランカへの軍事援助を停止後、中国は同国への最大の武器供給国になった。インド紙、タイムズ・オブ・インディアは「中国は国防分野での協力を利用して影響力を広めてきた」と非難している。
インドはスリランカの内戦が終結するやいなや、高官2人を派遣して支援を申し出るなど、同国への影響力回復を画策している。中国が今後、建造に向けて動き出した航空母艦をインド洋に展開させれば、インドをさらに刺激し、両国による軍備競争に発展する危険性をはらんでいる。
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