ロンドン(CNN) 米イェール大学医学部の研究者らが、開発した「コカイン・ワクチン」の治験を実施し、ある程度の効果が得られたとする研究結果を、米医師会が発行する専門誌に発表した。コカイン・ワクチンが人体に接種されるのは、世界で初めて。ワクチンにより体内にコカインへの抗体を作らせることで、コカイン中毒を食い止める一助になるとしている。
この研究を率いた現ベイラー医科大学のトーマス・コステン博士によると、ワクチン接種で体内にコカイン抗体を作らせ、体内に取り込まれたコカインが抗体と結びつくことで、コカインが脳に流入せず、快感や高揚感を得られなくなるという。その結果、コカインを摂取しても気分が良くならないため、コカイン摂取習慣の解消が見込まれるという。
被験者は2003年10月から05年4月にかけてコネティカット州ニューヘイブン地域で募集した、コカインとアヘンに依存症状を持つ、18─46歳の115人。男性が67%、白人が87%で、ほとんどがコカインを吸引し、マリフアナやアルコールなどへも依存していた。
被験者は2つのグループに分けられ、ワクチンと偽薬(プラセボ)を12週間にわたって5度、接種した。期間中は尿中のコカイン濃度を検査した。
その結果、血中抗体量が1ミリリットルあたり43マイクログラムを超えた38%の被験者で、顕著なコカイン摂取と尿中コカイン濃度の減少が確認された。また、血中抗体量が少ない被験者よりも、多い被験者の方が、よりコカイン吸引の頻度が減ったという。
コステン博士は、中毒に陥るような習慣的なコカイン吸引を防ぐ、有効な手段になりうると主張。また、アルコール以外の中毒性薬物の治療にも応用できる手法だと話している。