国境問題でインドメディアが「中国脅威論」 政府は火消しに躍起
2009/09/21 22:32更新
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【ニューデリー=田北真樹子】インド政府が、中国との国境沿いの情勢をめぐる過熱報道を自制するよう、印メディアに求める事態になっている。政府にとって、スリランカやパキスタンなどインドの周辺国で存在感を高め、根強い不信がある中国は、いまや最大の貿易相手国でもある。それだけに対立は得策ではなく、メディアの“刺激”が続けば「誰かがどこかで冷静さを失い間違った方向に向かうかもしれない」(ナラヤナン国家安全保障顧問)と懸念を強めている。
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記事本文の続き 「インド・チベット国境警察の兵士2人が、2週間前に中国側からの発砲で負傷」。インド紙タイムズ・オブ・インディアは15日付の1面で、情報筋の話として報じた。外務省報道官は「報道は事実に反する」とすぐさま反論。その後、シン首相やカプール陸軍参謀長も「中国首脳とは連絡を取っている」「国境沿いで何ら深刻な事態はない」と、事態の沈静化を図った。同時に、内務省は発砲記事を書いた記者2人を刑事告発し、情報源を明らかにさせる方針だとの報道もある。
今年に入ってインドでは(1)東北部アルナチャルプラデシュ州での水資源開発に対するアジア開発銀行(ADB)の融資を、中国がつぶそうとした(2)8月下旬にシッキム州ナトゥラ峠で両国軍が衝突した-などの報道が相次いだ。政府はいずれの報道も否定するか、沈黙を守っている。クリシュナ外相にいたっては「国境は平和だ」と明言し、メディアは「外務省は中国の“侵入”に目をつぶるのか?」とかみついた。
政府がここまで火消しに躍起なのには、いくつか理由がある。
印中両国の2008年の貿易額は、前年比34%増の520億ドルに達した。また、世界貿易機関(WTO)や地球温暖化をめぐる問題では、同じ新興国として先進国と対(たい)峙(じ)するために、中国との連携がインドには欠かせない。西側に緊迫した状況が続くパキスタンとの国境を抱えるだけに、東側の中国との国境問題で必要以上に波風を立てたくないとの思いも強い。
「合意された国境がないこと」(クリシュナ外相)が問題の根源だが、05年以降、両政府による国境問題特別代表者会合が開催されており、インド側はこの場での協議を優先させたい考えだ。インド側による中国側への“国境侵入”もあり、中国側を過度に追及できない弱みもある。
こうした中、チベット仏教最高指導者ダライ・ラマ14世は、アルナチャルプラデシュ州を11月に訪問する計画だ。これまで中国に配慮し訪問を阻止した経緯もあるとされるインド政府は、今回は容認する方針を明確にしている。
サブラマニアン・スワミー元法相は産経新聞に「最近の印中間の緊張はメディアがあおっている。両国間には相互不信があり関係は疎遠になっている。状況改善は可能だが、努力が必要だ」と語る。戦略専門家のP・Nケーラ氏は「両国間の戦争の可能性は低い。経済があらゆる方面に影響を及ぼしており、今以上の経済発展を遂げるには戦争をする余裕はないことを、両国とも痛いほどわかっている」と指摘する。
◇
■インド・中国国境問題 インドの旧宗主国の英国が設定した境界線を国境とするかどうかをめぐり、認めないとする中国と、独立インドが対立。チベット問題もからみ、1962年に武力衝突に発展した。現在でも双方が合意、画定した国境線はなく、両国は共有する約3500キロにわたる国境線に沿った地域をめぐり対立している。主な係争地は西部カシミール地方のアクサイチン(中国実効支配)と、インド東部アルナチャルプラデシュ州(インド支配)。
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