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きょうのコラム「時鐘」 2009年10月10日
サプライズのひと言である。選考基準が「チェンジ」したのかと一瞬耳を疑ったオバマ米大統領へのノーベル平和賞である
就任から9カ月余、核なき世界を宣言したプラハ演説から半年である。賞は、実績や結果に授けられるのが普通である。それが、現在努力中の者に授けられる。一番驚いたのはオバマさん本人かもしれない 地上最強の核保有国の大統領が平和賞とは皮肉にも思える。核なき世界への努力を後戻りさせないために縛りをかける授賞にも見える。極めて政治的で深謀遠慮の賞ではないか もっとも、平和という考え自体が「途中経過」のようなものだ。戦争をしていた宿敵同士が、和平の席に着いたら平和賞に輝いたこともある。その後はまた戦争だった。賞は未来のことまで責任は持てぬだろうが、ノーベル平和賞の難しさもそこにある 仮にオバマさんが「大統領を辞める時、核なき世界が前進していたら賞を頂く。それまで受賞はご辞退」と言えば世界は本当に感動するだろう。が、過去に対してではなく、未来の夢に与える賞があってもいい。それこそ「ノーベル未来賞」だ。 |