福岡空港(福岡市博多区)の滑走路増設構想で、国土交通省は9日、現滑走路西側に新滑走路の整備用地を確保するため、空港内にある米軍の倉庫施設など(2万2000平方メートル)を「移動する方向で防衛省と協議する」との方針を示した。増設に絡み、国が米軍施設の移動に言及するのは初めて。地元関係者らは返還への弾みがつくものと期待している。
この日の市議会決算特別委員会で、市側が「(米軍施設の)セットバック(後方への移動)が必要になる」と明らかにした。これについて国交省幹部は「空港内のスペース不足は明らかで、米軍施設を動かす必要があり、防衛省と協議しなければならない。(移動先の)用地確保も必要になり、早急に配置を考えたい」と話した。
移動方針について、福岡空港地主組合の曽根崎良満組合長は「米軍施設があることで軍用機との事故が懸念されてきた。移動を早期に実現してほしい」。板付基地返還促進協議会の会員は「本格的な返還の足掛かりになってほしい」と話した。
過密化解消策をめぐっては、県と市が4月「現空港の滑走路増設に速やかに着手する」との地元意見を国交相に連名で提出。5月には国を加えた3者で「福岡空港構想・施設計画検討協議会」を設け、新たな需要予測▽用地買収の規模--などの試算を始めている。
【鈴木美穂】
2009年10月9日