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補正見直し:3兆円到達 地方に痛み、反発も

 09年度補正予算の見直し額が政府の目標とする3兆円に到達する見通しになり、鳩山内閣は政権交代後の最初の大きな関門を越えることができそうだ。公共事業削減には地方から不満の声が上がるほか、盛り込むべき予算を来年度に先送りして削減額を増やした事業も含まれている。鳩山由紀夫首相は9日、2次補正予算で景気対策を検討することを示唆しており、今回の削減分を子ども手当などの新たな政策の財源7.1兆円にどれだけ充てられるかは不透明だ。【平地修、大場伸也、佐藤丈一】

 当初の提出期限だった2日までに各省が提出した削減額の合計は2兆5169億円で、目標の3兆円には届かなかった。鳩山由紀夫首相の指示により、7日から行政刷新会議担当の古川元久副内閣相らを中心に、削減額を上積みさせるための作業を開始。各省に個別の事業を挙げるなどして見直し案の再検討を迫った。

 厚生労働省は854億円の削減額の上積みを回答。医師確保など地域医療の充実に充てる「地域医療再生臨時特例交付金」(3100億円)の一部事業を減額することで、750億円をひねり出した。

 ただ、地域医療再生の削減は、「今年の診療報酬改定を行う際に十分に医療に資する対応を行う」との条件付きで、診療報酬の増額などで削減分を手当てするとみられる。失業者対策なども削減対象となっているが、雇用不安が強い中、来年度以降も改めて手当てが必要になりそうで、結局、補正予算から来年度予算への「付け回し」に終わる可能性もある。

 また、2日時点で予算の約5割弱を削った農林水産省や3割強削った防衛省などは「切れるものは全部切った。これ以上は無理」(山田正彦副農相)と削減額の上積みはゼロ。「削減率が一ケタの経済産業省や財務省をもっと削るべきだ」と、他省庁を批判する声も上がり、予算削減の難しさを浮き彫りにした。

 国土交通省は295億円の削減額上積みを回答し、補正予算2兆3321億円からの削減額は9170億円に上った。今回の補正予算では、国の公共事業に伴う地方負担分の9割を地方交付金として国が肩代わりすることになっていたが、公共事業削減に伴い交付金も大幅に削られることになった。

 高速道路は、東京外郭環状道路の練馬-世田谷(東京都、国費71億円)を66億円減額したほか、4車線化6区間(2613億円)をすべて凍結。首都高速と阪神高速の補強工事1211億円も凍結した。高速道路の新規4区間のうち、外環道は測量・設計費を除く用地・補償費を削減。残りの名古屋環状2号線名古屋西-飛島(愛知県)など3区間は執行する。

 高速道路4車線化の凍結を巡っては、工事対象の地元8県の幹部が9日、前原誠司国交相を訪れ、凍結解除を要望。馬淵澄夫副国交相は「中止ではなく留保」と、地域への配慮もみせるが、公共事業や交付金に対する地方の期待は大きかっただけに、地方の反発が強くなることも予想される。

毎日新聞 2009年10月9日 23時47分

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