報道発表資料 [2009年10月掲載]
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都市型若者被害に、東京・大阪で同時処分
関連のクレジット事業者にも勧告!
20代前半の友人を誘い、100万円を超える契約をさせていた
スキューバダイビングショップ事業者に業務停止命令(6ヶ月)

平成21年10月9日
生活文化スポーツ局

 本日、東京都は、販売目的を告げずに店舗へ呼び出した消費者に、ダイビングスクールや器材販売等の勧誘や契約締結を行っていた事業者に対し、特定商取引に関する法律(以下「特定商取引法」という。)第8条に基づき業務の一部を停止(6ヶ月)すべきことを命令するとともに、「お金がない」と断わる若者に、クレジットやカードローンを利用させ勧誘をしていたため、東京都消費生活条例(以下「条例」という。)第48条に基づき勧告しました。
 また、不当な勧誘が行われていることを知りながら、ショッピングクレジット契約をさせていたクレジット事業者に対し、条例第48条に基づく勧告を行いました。
 なお、今回の処分は、事業者の本店が所在し、同様の被害が多い大阪府と合同で実施しました。

1 事業者の概要

(1) 特定商取引法第8条に基づく業務停止命令及び条例第48条に基づく勧告
 事業者名 株式会社 エヌズ【屋号:エヌズゲーム】
 代表者 代表取締役 橋谷典昌
 本店 大阪府大阪市北区中之島六丁目2番40号 中之島インテス
 都内店舗 エヌズゲーム表参道店【所在地:渋谷区神宮前一丁目9番12号】
 設立 平成元年2月10日
 業務内容 スキューバダイビング教室等の役務の提供及びスキューバダイビング器材の販売等【訪問販売(アポイントメント・セールス)】
 売上高 約26億円(直近事業年度 平成20年4月1日〜平成21年3月31日)
 資本金 9,989万6千円
 従業者数 279名(平成21年4月現在)

(2) 条例第48条に基づくクレジット事業者に対する勧告
 事業者名 株式会社 昌起(しょうき)
 代表者 代表取締役 橋谷典昌
 本店 大阪府大阪市北区中之島六丁目2番40号 中之島インテス
 設立 平成11年12月3日
 業務内容 貸金業等【株式会社エヌズを加盟店とするクレジット業務】
 資本金 1千万円

(注)両社の関係
 上記(2) の株式会社昌起は、上記(1) 株式会社エヌズの親会社で、役員のほとんどが株式会社エヌズの役員などを兼務している。

2 東京都における相談の概要(平成21年9月末現在)

平均年齢 平均契約額 相談件数
16年度 17年度 18年度 19年度 20年度 21年度 合計
23.8歳
(20〜35歳)
約140万円
(最大約500万円)
12 18 16 66
【参考】大阪府における相談件数208件(平成16年度〜平成21年度)

3 東京都における勧誘行為等の特徴

(1) 販売員が友人・知人等に対して、「遊びに来ないか」「飲み会をやっているから来ないか」「イベントをやっているから遊びに来て」と販売目的を告げないで店舗へ誘い出し、スクールなどの勧誘を行っていた。

(2) 勧誘の際、分割払いの月々の支払額を強調し、支払総額等については、契約を承諾するまで故意に説明しなかった。

(3) まず、無料や廉価な体験ダイビング等を申し込ませ、申し込ませた体験ダイビングの受講等で店舗に来た際に長時間に及ぶ執拗な勧誘を行ったり、宿泊実習の際に深夜に及ぶ勧誘を行って、高額なスクールや器材の契約を締結していた。

(4) 短期間に、次々とスクールや器材等の勧誘や契約の締結を行い、ローン等の知識・経験の少ない大学生や社会人1年目の若者に、総額100万円を超えるクレジット契約を締結させていた。

(5) 消費者に銀行等のカードローン等を申込ませ、借入限度額を聞きだし、カードローンで現金を用意させて頭金とし残額を親会社のクレジット契約とするなどして、執拗に契約締結するよう勧誘をした。

4 特定商取引法第8条に基づく業務の一部停止命令及び条例第48条に基づく勧告の内容【株式会社エヌズ】

(1) 業務停止命令の内容
 平成21年10月10日(命令の翌日)から平成22年4月9日までの間(6ヶ月)、特定商取引法第2条第1項に規定する訪問販売のうち、次の行為を停止すること。
 ア 契約の締結についてその勧誘をすること。
 イ 契約の申し込みを受けること。
 ウ 契約を締結すること。

(2) 勧告の内容
 商品又はサービスの購入資金に関して、消費者からの要請がないにもかかわらず、貸金業者等からの借入れその他の信用の供与を受けることを勧めて、執ように契約の締結を勧誘しないこと、又は契約を締結させないこと。

5 条例第48条に基づく勧告の内容【株式会社昌起】

(1) 与信が消費者の返済能力を超えることが明白であるにもかかわらず、与信契約等の締結を勧誘しないこと、又は与信契約等の締結をさせないこと。

(2) 販売業者等の行為が東京都消費生活条例施行規則「平成6年東京都規則第225号。以下「規則」という。」第5条の2から第8条までに規定するいずれかの行為に該当することを知りながら、又は与信に係る加盟店契約その他の提携関係にある販売業者等を適切に管理していれば、そのことを知り得べきであるにもかかわらず、与信契約等の締結を勧誘しないこと、又は与信契約等の締結をさせないこと。

6 業務の一部停止命令及び勧告の対象となる主な不適正な取引行為【株式会社エヌズ】

不適正な取引行為 特定商取引法、条例の条項
「遊びに来ないか」「店の人と飲み会をやるから来ないか」「イベントをやっているから、とりあえず店に遊びに来て」等と誘い、勧誘に先立って、その相手方に、勧誘目的及び当該勧誘にかかる商品又は役務の種類を明らかにしていなかった。 法第3条
販売目的隠匿
役務提供契約を締結した際に、ダイビングスクール受講申込書を交付しているが、その書面について、法令に定められたクーリング・オフに関する重要な事項、代表者の氏名及び役務提供契約の申し込みの年月日などの記載に不備があった。 法第5条
書面不備
勧誘をするに際し、月々の支払額ばかりを強調し、消費者が契約を承諾するまでクレジットの総額等の重要事項を故意に告げなかった。 法第6条第2項
重要事項不告知
営業所等や海洋実習の宿泊先において、深夜に及ぶ勧誘や長時間に及ぶ勧誘を行ったり、消費者が「家に帰って考えたい」と断わっても執ように何度も勧誘するなど、迷惑を覚えさせるような仕方で勧誘行為を行っていた。 法第7条第3号
省令第7条1号
迷惑勧誘
大学生や年収240〜270万円程度の入社1年未満の会社員に対して、短期間に総額100万円を超える契約を締結するなど、顧客の知識、経験、財産の状況に照らして不適当と認められる勧誘を行っていた。 法第7条第3号
省令第7条3号
適合性原則
商品又はサービスの購入資金に関して、消費者からの要請がないにもかかわらず、「支払い総額が安くなる」「金利が安い」などと、銀行のローン借り入れその他の信用供与を受けることを勧めて、執ように契約の締結を勧誘し、又は契約の締結を行った。 条例第25条第1項第4号
規則第7条7号
要請のない信用供与

7 勧告の対象となる主な不適正な取引行為【株式会社昌起】

不適正な取引行為 条例の条項
年収240〜270万円程度の入社1年未満の会社員に対して、総額100万円を超えるクレジット契約を締結するなど、与信が消費者の返済能力を超えることが明白であるにもかかわらず、与信契約等の締結を勧誘し、又は与信契約等の締結をさせていた。 条例第25条第1項第9号、規則第12条第2号
返済能力超過与信契約
株式会社エヌズの不適正取引行為を知りながら、又は販売業者を適切に管理していれば、そのことを知り得べきであるにも関わらず、与信契約等の締結を勧誘し、又は与信契約等の締結をさせていた。 条例第25条第1項第9号、規則第12条第3号
販売業者等の不適正取引行為を知りながらの与信

8 今後の対応

(1) 業務停止命令に違反した場合は、行為者に対して特定商取引法第70条の規定に基づき2年以下の懲役又は300万円以下の罰金又はこれを併科する手続きを、法人に対しては特定商取引法第74条の規定に基づき3億円以下の罰金を科する手続きを行う。

(2) 勧告の内容に対する改善措置について、平成21年10月23日まで都知事あてに報告させる。今後の是正状況を監視し、勧告に従わない事実が確認された場合は、条例第50条の規定に基づき公表(東京都公報登載)を行う。

※参考資料 事例集

問い合わせ先
生活文化スポーツ局消費生活部取引指導課
 電話 03−5388−3074