一連の天体画像不正疑惑の調査状況について
【2009年10月9日 アストロアーツ「星ナビ」編集部】
当社(株)アストロアーツが編集・発行している月刊天文雑誌「星ナビ」の2008年6月号、および2009年10月号の表紙画像が、チェコ共和国のMiloslav Druckmüller氏がWebページで公開している画像を無断で複製加工したものであったことを、9月28日付のアストロアーツニュースで発表しました。問題の2枚の画像提供者である沖縄県の宮城隆史氏は、当社に提出した謝罪文の中で「著作権を侵害するような表現行為」があったことを認めました。ところが、問題を含む画像はこの2枚だけに止まらず、当社が運営する「投稿画像ギャラリー」や、「星ナビ」のバックナンバーなどにも多数の不正画像が含まれている可能性があることがわかりました。
一連の不正行為を反省し、謝意を表明した宮城氏の「謝罪文」には、『私は、これらのことを深く反省するとともに、二度と他の方の著作権を侵害するような表現行為をしないことを誓います。自ら(協力者も含む)撮影した画像素材を使い、コラージュ合成、イメージ合成などを施した場合も、その加工過程を明確に説明文に記すことを誓います』とあります(謝罪文の全文は9月28日付のアストロアーツニュースおよび「星ナビ」2009年11月号に掲載)。「星ナビ」編集部では、この謝罪文の提出をもって事件の終息を図る条件として、以下の2項目を宮城氏に課しました。
- 過去にも同様の不正行為を行った画像があるなら、そのすべてを「星ナビ」編集部に報告すること
- 問題を含む画像を提供したメディアに対し、自ら不正表現行為があったことを報告し、事後処理にあたった担当者の連絡先とともに、経過を「星ナビ」編集部に報告すること
しかし、宮城氏は、謝罪文の提出後も、盗用という事実を正面から認めようとしていないともとれる対応を続けていることが、複数の責任ある立場の関係者の証言から明らかになっています。
1. の「過去の不正画像の報告」に関して宮城氏は、宮城氏が元著作者であることを証するための画像を示すことなく「問題となる表現行為はあったが、盗用は行っていない」としています。「星ナビ」編集部では、引き続き宮城氏に報告を求めるとともに、独自に調査・検証を続けてきました。その結果、外部から指摘を頂いていた画像も含め、当社の各種コンテンツの中に、盗用が強く疑われる画像が、少なくとも新たに5枚のべ8件(1件は削除済)あることがわかりました(下記のリスト)。他にも、不正な合成や、撮影データの記載事項に不実のある画像が多数あることがわかりました。これらのことから、宮城氏による画像の不正利用・不正加工が常態化していたことが明らかになってきました。
- 「C/2006 P1 マックノート彗星」:「星ナビ」2007年3月号20ページに掲載
- 「17P/ホームズ彗星」:「星ナビ」2008年12月号特別付録「星空カレンダー2009」に掲載
- 2007年8月28日の「皆既月食」:「星ナビ」2007年12月号特別付録「星空カレンダー2008」、「星空年鑑2008」117ページ、アストロアーツ投稿画像ギャラリー(削除済み)に掲載
- 2008年8月1日の「中国西域皆既日食のコロナ」:「星ナビ」2008年10月号18ページ、同年12月号特別付録「星空カレンダー2009」に掲載
- 2008年8月1日の「雲間のダイヤモンドリング」:「皆既日食2009」5ページに掲載
2. の「問題画像の事後処理」に関しては、一部の機関に画像の削除を申し出たことが確認できていますが、宮城氏からの報告は、今のところ1件も届いていません。
(株)アストロアーツでは、これらのことから、謝罪文をそのまま受け入れる条件が守られていないと判断し、宮城氏に対していかなる対応をとるか、法的措置を含めた検討を進めています。
文責:星ナビ編集人 川口雅也