CGで何でもできる時代、スピード感を追求したり、残酷さを表現したり、
いろんなアプローチがなされているが、この映画は1万年前の世界を忠実に
再現しようとしている。さすが自然派志向の強いエメリッヒ監督。
ただ、我々は、誰も1万年前の世界をみたことがない。
それゆえに描きたいことは自由に描きたい放題。
当然のことながら生物の専門家や、時代考証のスペシャリスト、科学者から
「こんなええかげんな映画、知らんわ」と総攻撃を喰らっているんだとか。
《どこが自然派志向やねん》
《いや、エメリッヒはそこまでして1万年前にこだわりたかったんやわ》
超大作主義が大好きな私は彼を擁護する立場で見守ろうと映画に臨んだ。
オープニング、村の若者が登場する。父親が弱虫扱いをされ、悔しい思いを
している。ライバルがいる。好きな彼女がいる。1万年前でも人間関係は
変わらないんだ、と納得しようと努力する。
そこに恐ろしい連中が現れ、労働力を、娘を略奪していく。
若者は遠く果てしなき道のりを旅して、愛するモノを助けようとする。
しかも彼は旅の途中で「救世主」として崇められていく・・・。
おや? どこかで観たような・・・
《メル・ギブソンの映画とまんま一緒やん!》
どうして『アポカリプト』の後にこの映画を作ってしまったのか?
偶然の一致にしろ、もう少し内容を変えることはできなかったのか?
そこが不思議でならない。
おそらくスタッフ一同も『アポカリプト』を観て、「うわっ、カブってるわ」
と焦ったに違いない。でも構想15年、巨額の製作費をかけて動き出している
プロジェクトをそう簡単に変えられるわけでもなく、「まっ、ええか」と
開き直ったんだろう。んー、ある意味、潔い映画なのかもしれない。 |