
本誌記者 繆暁陽
2月14日、中国人民銀行副総裁の易綱氏が北京大学中国経済研究センターの主催した「CCER中国経済観察」第16回報告会で基調講演を行った。
デフレに対抗するのは中国中央銀行が短期間の間に最も関心を持つことだ。2月14日、北京大学中国経済研究センターで行われた「CCER中国経済観察」第16回報告会において、中国人民銀行副総裁の易綱氏は、「中央銀行はデフレ抑制、貨幣市場の安定維持に強い決意を持っており、さまざまな通貨政策ツールの最も良い組み合わせを通じて、適度に緩和した通貨政策を効果的に実施することができる。今後の利下げ余地は大きくなく、更にゼロ金利政策を実行することもあり得ない」と指摘した。
2008年上半期に中国は緊縮的な通過政策を実行し、下半期には適度に緩和した通貨政策を実行した。2008年の中国のGDP(国内総生産)は前年比9%増加、CPI(消費者物価指数)は前年比5.9%上昇し、貿易黒字は2955億ドルに達し、人民元貸付は年初と比べて4兆9000億元増加し、史上最高値を更新した。M2(広義の通貨供給量)は前年同期比17.8%増加し、外貨準備高は4178億ドル増加した。易綱氏は、「中国の金融システムは穏健、安全であり、貸付緊縮は発生しなかった」と述べた。
日本で1999年から2006年までの間に実行された量的緩和政策の効果について、易綱氏は、「1999年3月に日本はゼロ金利時代に入った後、景気がある程度回復したが、ゼロ金利により貸借コストが大いに減少し、日本国内の金融機関、企業と住民が日本円の金利裁定取引を通じて、保有する日本円資産を外貨資産に兌換することを促し、日本円の通貨供給量の増加速度が低くなったため、国内の流動性が国外市場へ流出し、量的緩和政策の効果が弱まった」と指摘した。
日本を例に、ゼロ金利と量的緩和政策には一定の限界がある、つまり金利裁定取引をもたらしやすい、と表明した易綱氏は、最後のまとめとして、「ゼロ金利もしくは準ゼロ金利政策は中国にとって必ずしもよい選択肢ではない。その理由は、中国の預金残高のGDPに占める割合が高いこと、中国の労働生産性と要素生産性が絶えず高まっていること、資本収益率がゼロ金利政策を支えないこと、中国の商業銀行は中間業務も費用徴収も少なく、業務構造を最適化する必要があり、利率が低すぎると、銀行が生き残れないことなどだ」と表明した。
「北京週報日本語版」2009年2月25日 |