奈津子の徒然雑記帳

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ギリシア神話の神々70

<ディオネ・高貴なる麗しの女神>

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 一般には、去勢され海に投げ捨てられたウラノスの男根より、自然発生的に誕生したと言われている美と愛の女神アプロディテ。
しかしホメロスによれば、アプロディテはゼウスの娘で、女神ディオネという母親がいるとされています。
このディオネという女神については、断片的な情報が幾つかあるばかりで、はっきりした全体像が今ひとつ掴みきれません。

 そこで、具体的にどのような女神だったのか、推察してみることにしました。
 
■アポロドーロス『ギリシア神話』より
→ウラノスとガイアの娘の1人、あるいはネレイスたちの1人。ゼウスと交わってアプロディテを生んだ。
■ヘシオドス『神統記』より
→オケアニスたちの1人。「美しい(kale)ディオネ」「愛らしい(erate)ディオネ」と呼ばれている。
■ホメロス『イリアス』より
→アプロディテの母。娘とともにオリュンポス在住。「女神たちの中でも一際美しい」と謳われている。人間であるディオメデスに手首を傷つけられて泣きながら怒るアプロディテを慰め、傷口から流れ出る霊血(ichor)を優しく拭って怪我を癒す慈母。
■『ホメーロスの諸神讃歌』より
→レトの出産に立ち会った数多の女神たちの中でも主要な存在として、レア・テミス・アンピトリテなどの錚々たるメンツとともに名を連ねる。

 では、これ等を基にして「ディオネ」に似つかわしい姿」を考察すると・・・。
まず、ゼウスの母レアや妻のテミス、海王の妃アンピトリテらと肩を並べられるところからして、ディオネの身分は相当に高いものであるようです。
とすると、彼女の出自に関する3つの説のうち、最も妥当と思われるのはアポロドロスが挙げた「ウラノスとガイアの娘(ティタニスの1人でレアやテミスの姉妹)」説になります。
 
 そしてこの生まれの高貴さに加え、ゼウスの愛人にしてアプロディテの母であるという事実からも彼女は神々に重んじられる存在であり、テミス同様にティタン神族でありながらオリュンポスに住まう栄誉を与えられています。
並みの愛人とは異なる扱いに格の違いが表れています。

 更に美神の母たるに相応しく、彼女は天界でも傑出した美貌の持ち主です。性格はといえば、人間に非礼を働かれた娘に同情しつつもその怒りを言葉巧みに宥めてしまうところや、ヘラの怒りを受けて難産に苦しむレトを哀れんでデロス島に駆けつけ、無事出産させるべく他の女神らと様々に方策を練ったところなどから、優しい中にもなかなかどっしりと落ち着いた女性であることがうかがわれます。
 
 纏めると「悠々自適の女神」というところでしょうか?
流石に正妃ヘラ程、押しも押されもせぬ身分というわけではないけれども、皆から相応の敬意を払われている自由で優雅な上流夫人。
娘と似ているとすればさぞかし魅力的な女神でしょうから、天界でサロンなどを開いたら女主人として大成功をおさめたクチかもしれません。

 以上述べてきましたが、あくまでこれは私個人の抱いている想像ですのでお間違えなきようお願いします。
別に彼女をティタニスではなくオケアニスであると考える方がいらっしゃってもまったく問題ありません。
『神統記』という資料に基づいた説であるわけですから。
こういった複数の伝承の間には、メジャーとマイナーの差はあれど、真偽・正誤はありません。
裏付けさえ在れば、何れなりともお気に召したものを選ばれて構わないので、この様な曖昧模糊とした神々にこそ思うさま想像力を駆使する余地があるというもの、あなたもどうぞ自分だけのディオネ像を作り上げて楽しんでみて下さい。

続く・・・

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