奈津子の徒然雑記帳

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ギリシア神話の神々56

<ヘベ:天界の宴の華>

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 オリュンポスで催される神々の宴は、何もかもが一流揃いです。
まず場所は燦然たるゼウスの宮殿、耳に快い伴奏は楽神アポロンの奏でる竪琴に詩神ムーサ達の歌、客の目を楽しませるのは雅神カリス達の輪舞、そして食においても、神饌アンブロシアが金銀の器に盛られて食卓に並び、赤くきらめく神酒ネクタルが美しい杯になみなみと注がれます。
しかもお酌をしてくれるのがとびっきりの綺麗所、青春の女神ヘベなのですからたまりません。
 
 ヘベはゼウスとヘラの娘の1人で、若き日の母にそっくりと言われる絶世の美少女です。
若さと活力を司る女神だけあって自身の姿もうら若く溌剌たる生気に溢れており、その輝く青春美によって周囲に喜びを振りまいています。
それ程美しい娘、しかも正妃所生の娘に宴席で、接待の役割をさせるとは、父親としてどういう了見かと、ちょっとゼウスに物申したくもなりますが、実はこの給仕役というのはなかなか名誉なお役目だったらしく、母ヘラも娘がこの役目を務めることを喜んでいました。
軽やかな足取りで客の席を巡り、天真爛漫な笑顔で愛想良く酌をして廻るヘベの姿は当に宴の華。
 
 しかし或る時、珍しい事にヘベは宴席の真ん中で転んでしまいました。
それも可也大胆な格好で……。
その失態に怒ったゼウスは彼女に免職を言い渡し、自分がトロイアからさらってきた美少年ガニュメデスをさっさと後釜に据えてしまいました。
これだけ聞くと「その程度の事で酷い!」と思ってしまうような話ですね。
しかし、ゼウスも流石に父親、娘の職を奪った事の穴埋めはちゃんと考えてありました。
実はこの給仕役交替事件の少し後に、地上で人間としての死を経験した大英雄ヘラクレスが、オリュンポスに昇って、神化を遂げるという一大事件が遭ったのですが、ゼウスは晴れて神となった愛息の妃にヘベを指名したのです。

 ゼウスの力を濃く継いだヘラクレスとヘラそっくりのヘベの結婚は、嘗てのヘラとヘラクレスの確執を水に流す効果を持つとともに、ゼウスとヘラ自身の結婚の再現であったとも言えます。
若い2人の仲は大層睦まじく、ヘベはアレクシアレスとアニケトスという2人の息子を生みました。

 妻となり母となっても「青春」の具現であるヘベは決してぬかみそ臭くはならず、永遠の美少女であり続けましたから、人間時代は、精力絶倫の女好きで鳴らしたヘラクレスも浮気することなく、彼女を大切にしたようです。
まあ、ひょっとしたら義母の怒りが怖かったということもあったのかもしれませんが……理由はどうあれ夫婦円満なのは大変結構な事です。

続く・・・・


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