奈津子の徒然雑記帳

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ギリシア神話の神々54

<オケアノス&ティテス>



 大洋神オケアノスは、ウラノスとガイアから生まれた、ティタン神族の長兄であり、人格神というよりむしろ世界の構成要素として神話に登場する古き神の1人です。
彼の支配領域であり、彼自身もほとんどそれと一体視された大洋オケアノスは、古代には大地ガイアを取り巻く環状の大河であると考えられていました。
地中海からオケアノスに出るには、世界の西端にそびえる「ヘラクレスの柱(ジブラルタル海峡)」を通過しなければなりませんが、そこまでの航海が既に並大抵のものではない上に、首尾よく辿り着いたところで人間の操る船がオケアノスの流れを横切ることは不可能。
唯一、オケアノスの娘婿たる太陽神ヘリオスの持つ黄金の杯船だけが、その渡航を可能にすると言われていました。

 しかしこの「オケアノス=大河説」を後世の歴史家ヘロドトスや地誌学者パウサニアスなどは「オケアノスという名の河が実際どこかにあるとは聞いたことがない」とあっさり否定。
オケアノスは河ではなく、「内海」たる地中海に対する「外海」であるというのが新たな主張となります。
しかも人間には航行できないはずのこの聖なる海を、航海技術に秀でたカルタゴ人たちは我が物顔に船で走り回っていたとか。
 
 こうなってしまうと、もはやオケアノスの神秘性もさっぱりですが、叙事詩中では偉大な水の神、全世界の河や湖沼などにその清らかな水を供給する「世界の水源」として神々からも大いに畏敬される存在でした。

 オケアノスの妹にして妻である女神テテュスも、これまた偉大な水の女神として夫とともに尊重されました。
大洋そのものとの一体視は夫ほどではありませんが、やはり自分の支配領域を動くことはありません。
3000人の息子神と同数の娘神、合計6000もの子供を産んだ彼女は海の多産性の象徴でした。
 
 ヘシオドスによれば、ウラノスとガイアの子とされるオケアノスとテテュスですが、ホメロスにおいては「神々の祖(おや)」と呼ばれています。
これはオリエントの創世神話の影響を受けた発想なのかもしれません。
オリエントでは雄性の真水アプスと雌性の塩水ティアマトが交わったところから万物が誕生したとされており、近隣文明の神々を取り込むことの多かったギリシア人がそれらを取り入れてオケアノスとテテュスというギリシア語の名前を与えたのではないでしょうか。
 
 最も、仮に彼らの出身がオリエントであったとしても、もはやこの2人はアプスとティアマトのような荒ぶる神ではなく、すっかりギリシア化された穏やかで美しく、静かな水の神様です。

続く・・・・


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