奈津子の徒然雑記帳

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ギリシア神話の神々48

<プロテウス>

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 プロテウスは、ポセイドンの息子とも従者とも言われる海神の1人です。
ネレウスとそっくりの神格で、彼と同様「海の老人」と呼ばれます。
彼の主な仕事は、ポセイドンの飼っているアザラシの群れの世話をする事。
毎日真昼頃になると、彼はアザラシ達を連れて海底から浮かび上がり、エジプト沿岸のパロス島やエーゲ海のカルパトス島へ赴きます。
海辺の岩窟に入ってアザラシの数を数えた後、彼らを眠りにつかせ、自分も昼寝を始めるのですが、しばしば人間達にその寝込みを襲われました。

  というのも、彼は「知らざる事柄はなし」という予言力の持ち主だった為、困難な状況に陥った英雄達がよく打開策を求めて彼の予言を仰ぎに来たからです。
「プロテウスは普通に頼んでも何ひとつ教えてはくれない」と知る彼らは、哀願ではなく腕力にモノを言わせ、老神が寝入った隙を突いて彼を引っ捕らえると、力ずくで知りたい事柄を聞き出そうとしたのです。

  しかしながらプロテウスも神、そうやすやすと言いなりにはなりません。彼は優れた変身能力も持ち合わせているので、荒れ狂う野獣や大蛇、果ては炎や水にまで化けて何とか束縛を逃れようともがきます。
それらの仮の姿に恐れをなして手を放してしまったら、神は逃げ去ってジ・エンド。
例えどのような外見になろうとも臆することなく締めあげ続け、観念したプロテウスが元の姿に戻るまで忍耐できた者だけが、自分の求める真実を教えてもらえるのです。

  しかし、たまにはプロテウスも自発的に予言を下すことがあります。
たとえば海の女神テティスやその夫となる英雄ペレウスに対するときがそうでした。
ある日テティスを見かけた老神は激しい霊感に打たれて叫びました。
「おお、女神よ、身籠もりたまえ! そなたが生む息子は必ずやその父よりも偉大な者となるであろう!」
すると、彼女を愛人にしようとしていたゼウスがこの予言を聞いて恐れおののき、自分の孫に当たる人間の男ペレウスに「テティスと結婚せよ」と命じました。
しかし、不死なる女神にとって死すべき人間の妻になるというのは大変な恥。
テティスは言い寄ってきたペレウスを激しく拒絶し、得意の変身術で恐ろしい猛虎に化けて、ビビった彼の腕からまんまと逃げ去ってしまいました。

  困り果てたペレウスが海に向かって献酒をし、犠牲を捧げて神々の助けを祈ると、どういう風の吹き回しか、人間には滅多に予言をしないはずのプロテウスが波間から顔を出し、入れ知恵をしてくれました。
「テティスが眠っているところに忍び寄り、縄で縛り上げよ。彼女が何に変身しようとも絶対に放さず、元の姿に戻るまで待て。さすればそなたのものになる」
つまりは自分自身がいつも引っかかっている方法を教えてくれた訳ですが、ペレウスがこの助言に従ってテティスをものにしたことは言うまでもありません。

  それにしても、どうしてペレウスのときだけ犠牲と祈願というありきたりな方法で力添えをしてくれたのでしょう? 
他の英雄達にもそのやり方で教えを垂れてやればいちいち昼寝の邪魔をされなくていいと思うのですが、そうしないのは何故なのでしょうか。神々の行動原理というのはよくわかりません。

続く・・・・


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