奈津子の徒然雑記帳

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創造の女神達Ⅲ

ムーサ達Ⅲ

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<女神達の数> 

 ヘシオドス等において紹介される女神達は、9人姉妹とされているムーサ達ですが、もっと古い伝承では3人姉妹であったと言われています。
パウサニアスが伝える話によると、彼女たちはゼウスではなくウラノスの娘で、個人名はアオイデ・ムネメ・メレテであったとされています(異説もありますが)。

 元々ギリシア神話には3人1組で現れる女神達が非常に多く登場します。
モイラ、ホーラ、カリス、エリニュス、少々意味が異なりますがゴルゴン姉妹、グライア姉妹・・・と本当に多いですね。

  この3というのは「満ちゆく月-満月-欠けゆく月」という月の相、また「乙女-母-老婆」という女の相、あるいは「(再)生-生長-死」という豊饒の循環などに由来する数字であり、1人の大いなる女神の身をその3つの側面に沿って分裂させたのが上に挙げたような三身一体の女神達であると言われます。
今の場合ですと、1人の大いなる詩神ムーサがまず在り、それが三身に分裂してアオイデ・ムネメ・メレテになったわけです。
普通はそれで終わりですが、何故かムーサ達にだけはもう一度分裂が起こり、先の3人×3で今度は9人に増えてしまいました。

 数が増えた事により、ムーサ達は様々なジャンルの詩歌や学芸を分担して受け持つことが可能になりました。
一般に言われる各女神の担当分野は、カリオペが叙事詩、クレイオが歴史、ウラニアが天文、メルポメネが悲劇、タレイアが喜劇、エラトが恋愛詩、エウテルペが叙情詩、ポリュムニアが讃歌、テルプシコラが舞踏です。
もちろんこれにも諸説があり、この分け方が唯一絶対のものというわけではないのですが、どの説を見ても叙事詩がカリオペに任されていることは共通です。
雄々しい英雄達の活躍を歌う叙事詩は詩の中でも最も高貴なるもの、なればこそ姉妹の頭である長女にのみふさわしいというわけなのです。

終わり


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