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【社説】ハングルとハングルの日

 今日(10月9日)は「ハングルの日」、今年で563回目を迎える(1446年に朝鮮時代の第4代国王・世宗大王がハングルの成り立ちや使い方を定めた「訓民正音」を公布したのを記念する日=編集部注)。国の文字を作った人物やその過程、そして完成し公布された日が記録として明確に残っている例は、世界の数ある文字の中でもハングル以外にない。しかし、わたしたち韓国人は、この世界史上に残る宝の価値をきちんと評価し、ハングルをさらに磨き、韓国の文字文化や韓国語文化のより良い発展のため最善を尽くしてきたとは言いがたい。

 韓国語使用人口は7739万人で、世界の言語では13位。世界知的所有権機関(WIPO)は韓国語を9番目の国際公開語として採用している。1997年に初めて行われた韓国語能力試験の受験者は2600人だったが、今年は27万人に達し、通算受験者数も100万人を超えた。韓国語学科や講座を開設している海外の大学は54カ国・642カ所に上る。

 ところが、2177カ所ある海外のハングル教育機関は、所属機関が外交部・教育部・文化部と分かれており、教材や講師のレベル、水準はそれぞれ異なる。海外在住韓国人・韓国系や駐在員の子女にハングルを教える「ハングル学校」は1校当たりの政府支援額が年間数百万ウォン(100万ウォン=約7万6000円)にとどまり、講師の給与を減給したり、講師数を減らしたりするうちに、結局は閉鎖されてしまうケースが相次いでいる。

 インドネシア・ブトゥン島のチアチア族は今年、民族の言葉を表記する公式文字にハングルを採用した。小学校でハングルの教科書を使い、チアチア語の教育を始め、ハングルの歴史に新たな1ページが刻まれたのだ。現在8万人いるチアチア族のうち、小学3年生の40人だけがハングルを習っている段階に過ぎないが、習うのも書くのも簡単なハングルの価値が証明されたことになる。しかし、チアチア族がハングルを公式文字に採用したのを、自動車・テレビ輸出と同列に語るのは浅薄な考え方だ。いたずらに政府が目立って、金品を渡そうと騒いだりするのではなく、現地の言語・文化・宗教・伝統を尊重しつつ、ハングルの長所を共に分かち合おうという姿勢が良識だろう。

 こうしたニュースの一方で、現在テレビやインターネット上にあふれているハングルによる汚いののしり言葉や、訳の分からない俗語・スラング・省略語などを見ると、ハングルを作り、後世に残してくれた先祖に対する罪作りな行為ではないかという感が否めない。先祖が残したハングルを美しく保ち、精魂込めて磨き上げ、さらに意味深く分かりやすい文字として発展させるどころか、ハングルの手足をもいでいるようなわたしたちは、「先祖不孝な子孫」と言えるだろう。

 文化体育観光部が先月、世論調査を行ったところ、回答者の68.8%が「ハングルの日を祝日に再指定するのに賛成」と答えた。5000年の民族の歴史においても特筆すべき文化的創造物のハングルがこの国を照らし始めた日を、「文化的な国の祝日」として意義深く過ごす方法を今一度、わたしたち国民はよく考えてみるべきだろう。

朝鮮日報/朝鮮日報日本語版
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