十勝毎日新聞社ニュース
中川氏に最後の別れ 告別式 政財界から参列
「国民を守ることの本質を行動で体現された」
【東京】故中川昭一元財務・金融相(享年56)の告別式が9日午前11時、都内港区元麻布の善福寺でしめやかに営まれた。保守の論客として存在感を示し、財務相、農水相、経産相、自民党政調会長など要職を歴任した中川氏の功績をしのび、数千人の政財界著名人、十勝関係者らが冥福を祈った。
出棺のため中川氏の遺体が乗せられた霊きゅう車の前で、多くの参列者にあいさつする郁子夫人(中央。9日午後1時15分すぎ、東京・元麻布、金野和彦撮影)
中川家と自民党の合同葬儀。葬儀委員長は谷垣禎一同党総裁、喪主は郁子夫人が務めた。
谷垣総裁が「真の保守政治家として高い志を持ち、必ずや再起を図ると信じていただけに、突然の不幸に言葉が見つからない。北朝鮮の拉致問題への取り組みは忘れることのできない大きな足跡。先生ほど、国民を守ることの本質を行動で体現された政治家を私は知らない」と弔辞を述べた。
中川氏が所属していた志帥会(伊吹派)の伊吹文明衆院議員は「日本、自民党にとって大きな損失。保守主義は、人間の作り上げた良き伝統的規範や自己抑制、矜持(きょうじ)に期待する政治思想。あなたの政治的無念を晴らすためにも、自民党は正しい保守のあり方を体系的に理解し、保守政党として国民の信頼を取り戻す努力を誓う」と追悼。
友人代表の安倍晋三元首相は「昭一さんは常にリーダーだった。自虐的な歴史観を正し、子供たちが日本に生まれたことに誇りを持てる教育に変えたい一心で教科書問題にも取り組んだ。困難な問題に立ち向かい、世の中を変えていく戦う政治家の姿を学んだ。最愛の奥様と夢だったエジプト旅行に来週出発すると聞いていた。郁子さんは昭一さんとの幸せな日々を胸に、中川家を守っていくと思う」と涙ながらに語った。
郁子夫人は「56年の生涯で大切にしていただき感謝している−と、主人の声が聞こえる気がする。26年間務めさせていただいた国会、自民党、父の代からお世話になった北海道の選挙区の繁栄を祈っていると思います。ここ数年、日本が危ないと繰り返し言っていた。国を愛する心を気持ちの中心に据え、お世話になった皆様にご恩返ししていきたい」と謝辞を述べた。
8日午後6時からは同寺で通夜が執り行われた。16日には帯広市内の北海道ホテルで偲(しの)ぶ会が開かれ、十勝関係者が最後の別れを告げる。
(池谷智仁)
法名「青邦院釋昭尊」
故中川氏の法名は「青邦院釋昭尊」。郁子夫人と長女が「清い政治を貫いた」との意味を込めて命名、鎌倉の高僧の承諾を受けた。
陛下から「祭粢料」
故中川氏の告別式会場に9日、天皇陛下の香典に当たる「祭粢料(さいしりょう)」が届いた。
天皇陛下の勅使が同日午前9時半に訪れ、郁子夫人ら遺族と対面。祭粢料は祭壇に飾られた。
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