自民党の谷垣禎一総裁が表明した「シャドーキャビネット(影の内閣)」の設置が見送られることになった。政策と国会対応を一体運用する構想も頓挫し、早くも谷垣氏の指導力に疑問符がついた。
谷垣総裁は就任直後の記者会見で、民主党が野党時代に設けた「次の内閣」にならって「影の内閣」を設ける考えを表明。「影の大臣」が国会の常任委員会の筆頭理事を兼ねて論戦の先頭に立つ構想も示したが、ポスト数が減るとの懸念や「民主党がやったから我々もやるということにはならない」(石破茂政調会長)などの異論が出ていた。
結局、「影の内閣」は見送られ、政調会長と部会長13人で作る「政権政策会議」を新設。部会長に中堅・若手を起用し、谷垣総裁も原則参加しない。これまでの政調審議会とさほど変わらず、党首が主導した民主党の「次の内閣」とは異質のものになった。
さらに常任委員会筆頭理事に閣僚経験のある大物議員が並び、部会長はその下の理事に就くため「政調と国会の一体化」も名ばかりに。大島理森幹事長らが機構改革を主導していることもあり、谷垣氏の影響力低下を指摘する声が広がっている。(山下剛)