食料の自給率は、その国の食料消費がどの程度、自国の生産でまかなえているかを示しており、我が国の食料需給のあり方を考える上でも大切な指標です。
(1) 通常、「我が国の食料自給率」として使用しているものは、カロリーベースの食料自給率(供給熱量総合食料自給率)です。これは、食料が生命と健康の維持に欠くことのできない最も基礎的で重要な物資であることから、その基礎的な栄養価であるエネルギー(カロリー)が国産でどれくらい確保できているかという点に着目しているためです。
カロリーベースの食料自給率は、国民に供給されている食料の全熱量合計のうち、国産で賄われた熱量の割合を示したものであり、その計算方法は次のとおりです。

注)国内の畜産物については、飼料自給率を乗じ、輸入飼料による供給熱量分を控除。
(2) なお、カロリーベースの食料自給率では、野菜や果実について、同じ重量であっても米やいもなど他の食料に比べカロリーが低いことから、その需給動向が反映されにくく、加えて、生産するために投下した労働等生産活動の結果を必ずしも捉えることができません。
このため、これらの取組みにより創出される経済的価値を評価する観点から、生産額ベースの食料自給率を併せて示しており、その計算方法は次のとおりです。

注)国内の畜産物及び加工食品については、輸入飼料及び輸入食品原料の額を国内生産額から控除。
(3) 以上に見るように、一口に食料自給率と言ってもその示し方は複数あり、それぞれに特徴があるため、食料自給率を用いて国内の食料消費や農業生産に対する評価を行う場合には、カロリーベースの食料自給率だけでなく、品目別自給率、穀物自給率、生産額ベースの食料自給率の各指標を組み合わせて示すことも必要です。
(4) 特に、総合食料自給率はデータの制約により算定できない国も数多く存在するため、国際比較を行う場合には、基礎的な食料に着目して、通常は穀物自給率を用いています。
カロリーベースの食料自給率を見る上で注意を要するのが畜産物の取扱いです。我が国において、畜産物は農業総生産額の25.8%(平成15年度現在)を占める重要な農業生産分野ですが、とうもろこし等の飼料により国内で育成された分については、厳密には自給とは言えません。
従って、畜産物については、国産であっても飼料を自給している部分しかカロリーベースの自給率には算入しないこととしています。
例えば、豚肉自体の品目別自給率は53%ですが、このうち自給飼料によって生産された豚肉の国産熱量は、豚の飼料自給率9.7%を乗じて算出されるため、結果的にカロリーベースの食料自給率の計算上用いる豚肉のカロリーベースの自給率は5%となります。
畜産物のカロリーベース自給率(平成15年度)
単位:% |
|
品目別自給率× |
飼料自給率= |
カロリー自給率 |
牛 肉 |
39 |
26.2 |
10 |
豚 肉 |
53 |
9.7 |
5 |
鶏 肉 |
67 |
9.7 |
7 |
鶏 卵 |
96 |
9.7 |
9 |
牛乳・乳製品 |
69 |
42.3 |
29 |
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