2009年10月8日 19時29分更新
殺人未遂事件を審理している岡山県で初めての裁判員裁判で、検察側は8日、懲役8年を求めたのに対し、弁護側は懲役3年と執行猶予5年を主張しました。
しかし、この弁護側の主張が法律上、誤った主張だったことがNHKの指摘でわかり、弁護側では執行猶予の主張を撤回することを決めました。
裁判員が審理しているのはことし5月、岡山市南区に停めた車の中で瀬戸内市の40歳の無職の男が別れ話のもつれから21歳の女性をナイフで刺して殺害しようとした殺人未遂事件です。
8日開かれた裁判で検察側は「被害者の心臓めがけてナイフを根元まで突き刺すという犯行はきわめて危険で、被害者も厳正な処分を望んでいる」などと述べて懲役8年を求刑しました。
一方、弁護側は「被告は精神を病んでおり精神科の治療が必要」としたうえで「実刑にすると治療の機会が奪われる」として保護観察のついた懲役3年、執行猶予5年の判決を求めました。
しかし、被告は去年の11月に別の事件で執行猶予付きの判決を受けていて、刑法の規定では2度目の執行猶予つきの判決を出すためには1年以下の懲役でなければならず、このため、被告には執行猶予をつけることができないことがNHKの取材でわかりました。
弁護側では執行猶予の主張を撤回することを決め、9日裁判所に訂正の文書を提出することにしています。
被告の弁護を担当する河原昭文弁護士は「わたしのミスです。
最終弁論の内容をチェックしておらず、執行猶予がつかないことは確実だ」と誤りを認めたうえで、被告に対し、「申し訳ないと思っている。接見して直接あやまりたい」と話しています。