東京証券取引所が8日発表した9月(8月31日~10月2日)の投資部門別売買動向(東証、大証、名証1・2部合計)によると、外国人投資家は1241億円の売り越しだった。売り越しは3月以来、半年ぶり。新政権の経済政策への不透明感や急激な円高進行を受け、外国人が日本株の売り姿勢を強めたとみられる。
日経平均株価は選挙前の8月26日、政権交代による改革期待の高まりから年初来高値の1万639円をつけた。だが、藤井裕久財務相が「円高容認」と受け取られかねない発言をしたことで、円相場は1ドル=88円台まで上昇。輸出関連企業の業績悪化懸念が高まり、自動車や電機といった主力株を売る動きが強まった。亀井静香金融・郵政担当相が、中小企業向け融資の返済猶予(モラトリアム)策の導入を表明したことなどをきっかけに銀行株も売られた。
日経平均は9月中旬以降、じりじりと値を下げ、現在は1万円を割り込んでいる。藤戸則弘・三菱UFJ証券投資情報部長は「政権運営への警戒感から資金を新興国に振り向ける動きが強まっている」とみている。【工藤昭久】
毎日新聞 2009年10月8日 19時49分(最終更新 10月8日 20時12分)