ブックリスト登録機能を使うにはログインユーザー登録が必要です
いよいよあの人が登場します☆
3
土方は朦朧とする意識の中で冷静に状況判断を行っていた。

(あれ・・・俺何してんだぁ?周りは真っ暗だし・・。
待てよ。確か俺の部屋でクレヨンしんちゃん見てたんだったよな?その後たしかテレビがいきなり光りだして・・・)


「土方さん起きませんねぇ・・・。」


天井から声が聞こえてきた。


(山崎か?俺はここだ!ちゃんと起きてる!)


「起きませんねェ。」


今度は沖田の声だった。状況から見て土方の声は山崎と沖田には届いていないらしい。


(どーするよ・・・)


土方は途方にくれた。
ぶっちゃけどうしようもない。
気が狂うまで叫ぶのもアリだが土方はそんな原始的な手段は取りたくなかった。


「仕方ねェや。ショック療法といきましょうや。」


(ショック療法・・・?)


物凄く嫌な予感が土方の頭をよぎる。


「ショック療法ですか?でも一体何のショックを与えるんですか?」


「使うのはこれでさァ!」


《手榴弾!》


「手榴弾て・・・ショックどころか死んじゃいますよ・・・。」


「土方さんに対してなら丁度いい目覚まし代わりになりますぜ。」


(ならねーよ!お前絶対俺を殺す気だろ!)


突っ込んではみるものの相手に聞こえなくては意味がない。


「じゃあ行きますぜェ。」


沖田が手榴弾を片手に振りかぶる。


(待てコラァ!俺を殺す・・・)






ドカァァァァン!!



最後まで言わせてもらえなかった。


(この野郎覚えとけよ・・・。)


土方は頭が妙にはっきりしてきたような気がした。

















「あ、ようやく土方さん起きましたぜェ。」


「総悟ォ。テメェこの野郎・・・何してくれてんだコラァ!」



怒ってる。すっごい怒ってる。
まぁ怒るのも当然と言えば当然。
人を起こすために手榴弾で爆撃なんかされたら命が幾つあっても足りない。
当然の抗議である。


「ちょっ!落ち着いて下さいよ土方さん!今はそんなことしてる場合じゃないでしょ!?まずはここはどこか確かめないと!」


山崎が慌てて今にも沖田に掴みかかりそうな土方を宥める。


「あァ!?ここは俺の部屋に決まって・・・あれ?ここどこだ?」


土方は挙動不審に周りを見渡すがこの空き地以外は辺り一面コンクリート。
さらには建っている住宅街も歌舞伎町のそれではない。



「山崎ィ。たしか俺達は俺の部屋にいたんだよな?」


「えぇ。そしたらテレビが光りだして・・・。いつの間にか意識を失ってたんですよ。」



「何が起こったってんだ・・・」


土方がそう言って立ち上がろうとしたとき。



「おじさん達誰?」

いきなり後ろからクリクリ頭の少年が話しかけてきたのである。



「おわっ!なんだテメェ!」


土方が慌てて振り返る。


「おじさん達誰?」

少年は怪しげな目で同じ質問を繰り返してくる。



「もしかして変質者?」



「誰が変質者だこの野郎!俺達は真選組だ!」


少年はしばらく黙って聞いていたが・・・


「ほうほう。やっぱり変質者ですか。変質者も大変ですなぁ。こんな空き地で暮らしてるなんて・・・。」


「テメェ何聞いてんだこの野郎!そんな哀れみの目で見るんじゃねぇ!」



「あっ!土方さんコイツあれですぜ。クレヨンしんちゃんの主人公の金之助でさァ!」


沖田がポンと手を叩く。


「オラ金之助じゃないゾ!野原 しんのすけだゾ!」


少年こと野原 しんのすけは不快な顔をして抗議をする。


「どういうことですか?なんでアニメの登場人物が僕らの前に?」


山崎は腕組みをして考えている。



「おじさんこそ何いってるの?銀魂のコスプレまでして。いい年こいて恥ずかしいですなぁ。」


しんのすけの哀れみの目が強くなる。


「キンタマ?そりゃなんでぇ?」


沖田がしんのすけに訪ねる。


「キンタマじゃなくて銀魂だゾ!銀さんや神楽ちゃんが活躍するアニメだゾ!」

しんのすけは興奮するように話している。

一瞬土方達は何言ってんだこの子は?と思った。しかし今の自分達の状況を考えるとあながちしんのすけの言っている話もウソではないと思ったのだ。


「しんのすけだっけか?じゃあここは春日部ってとこでお前はふたば幼稚園に通ってる5才児。好きなものはななこお姉さん。どうだ?合ってるか?」


土方は自分の知っている情報を全て事実なのか聞いてみた。

「おおっ!なんでおじさん知ってるの!?もしかして超能力者?」


驚くしんのすけは置いておいて土方達は顔を見合わせた。


(どーゆー事だ?)
(俺に聞かれても困りますよ)

(1つ言えるのはここはクレヨンしんちゃんの世界で間違いないってことですねェ。)



「おおっ!もうこんな時間だゾ!じゃオイラは帰るね。バイバイ変質者のおじさん達〜。」


空き地に何故か置いてある時計を見るとすでに6時を回っていた。山崎は(変質者じゃないっていってるのに・・・)と苦笑しながらしんのすけの後ろ姿をみていた。



























先程からのしんのすけの話を聞いていた土方達は急に心細い気分になっていた。 自分達が今いる世界は自分達が住んでいる世界ではなくクレヨンしんちゃんの世界だとわかってしまったからだ。さらに戻る方法がわからない以上憂鬱な気分になるのも仕方のないことだった。



「何柄にもなく落ち込んでるんだよ。お葬式の前ですかコノヤロウ。」


いきなり後ろから声がしたかと思うとそれは聞き覚えのある声だった。銀髪に死んだ魚の目のような目付き。


「旦那ァ!」


「旦那?」


沖田と山崎が真っ先に走り寄っていた。

彼は坂田銀時。真選組が捜索していた張本人である。


「テメェ何でここにいる?」


土方が座ったまま振り返る。


「なんでテメェはいつもそんなに喧嘩腰なんだよ。」


「うるせぇ。テメェこそその死んだ魚の目どーにかしろ。」

「旦那ァ土方さんは放っといていいですから状況を説明して下さいや。」


沖田が土方を無視して銀時に説明を求める。






銀時達よろず屋銀ちゃんのメンバー(神楽・新八・定春。それにたまたま一緒にいたお妙)は土方達と同じくクレヨンしんちゃんを見ていたらしい。そのクレヨンしんちゃん自体は何の問題もなく終わったのだが事件はこの後だった。土方達のときと同じくいきなりテレビが光りだして気を失い気が付いたらこの世界にいたらしい。




「でもお前らは1週間位前からいなかったよな?この1週間どうやって生活してたんだ?」


土方が銀時に訪ねる。



「それは色々あったんだけどよ・・・話すと長くなんぞ?」

「いーから喋れ。」





銀時達も1週間この世界に来たときは途方に暮れたらしい。

まぁいきなりアニメの世界に飛ばされたら途方にも暮れるだろう。


銀時達も始めはこの空き地に飛ばされた。だが銀時達が気が付いて間もなく少年の悲鳴が聞こえた。その悲鳴の方に行ってみると大人の男数人が1人の少年を押さえ付けていたらしい。もちろん銀時・神楽・新八にかかれば男数人など敵ではないので簡単に少年を助け出せた。
しかし問題はここからだった。その男達は倒された後ドロドロの液体になって溶けてしまったらしい。これについては銀時達も驚いたそうだ。そして銀時達はめでたくその少年を助けたお礼にその少年の家に居候させてもらっているらしい。ちなみにその少年は風間トオル。クレしんの主要登場人物である。



「とまぁこんな感じなわけよ。」


長々と説明を終えた銀時がよいしょと腰を下ろす。


「でも待てよ?体が溶けたってそいつは天人か?」


「大串くん。クレヨンしんちゃんの世界に天人がいるわけないでしょーが。」


銀時はそう言って頭を指差す。(頭を使えって意味)


「誰が大串くんだぁ!誰が!」


土方が再び銀時に突っかかる。


「土方さん!話が進まねえって言ってんでしょーが!」


沖田がすかさず土方を止める。


「旦那ァ!続きお願いしやす。」


「はいよ。」



まぁ俺達もさすがに人間が溶けたのにはびっくりしたわけ。だからこの1週間色々調べたんだけどよ。この町っていうか春日部全体で謎の誘拐事件が多発してるんだそうだ。


「誘拐事件?」


沖田が怪訝な顔をする。



そう。誘拐事件。それがまた厄介で無差別なんだそうだ。大人から赤ん坊。さらには墓から遺骨まで持ち去られてるらしい。



「遺骨?そんなもん盗ってどうすんだ?」


土方も怪訝な顔をする。



俺達にもそんなもんわかんねえよ。とりあえず溶けた人間といい墓荒らしといい誘拐事件といい変な事件も多いから俺達がトオルを守ってるわけ。


「トオル君の両親はいないんですか?」

山崎が尋ねる。


「トオルの両親ならしんのすけの家とネネちゃんの家の両親と海外旅行だそうだ。」




と銀時の説明が終わった時だった。





「キャァー!」




女の子の悲鳴。
銀時達は一斉に悲鳴がした方へ駆け出していた。
どうだったでしょうか?まだまだ文章能力がないので変な文章になってますが・・・。


それから感想があれば書いてやって下さい☆励みになりますので。