企業経営への影響を懸念する声も強い。この日の審議で、使用者側からは「コスト増で国際競争力が失われれば、製造拠点の海外移転に拍車がかかる」「地方の製造業は自前での人集めが難しい。製造派遣が禁止されると人を雇えなくなる」といった意見が相次いだ。
労使の裁定役である公益委員からも疑問の声が上がった。東京大学の岩村正彦教授は「いまが規制強化のタイミングなのか不安を持っている。製造業派遣を禁止すれば、企業は正社員を雇うようになるのかも見えない」と指摘。放送大学の宮本みち子教授も「中長期的にみると、製造業の派遣をどうするかという問題だけの議論でいいのか」と話し、有期雇用や請負など非正社員全体を見据えた議論の必要性を強調した。(林恒樹)