上関町長島での原発建設計画で、中国電力は7日、平生町田名埠頭(ふとう)に置いてある灯浮標(ブイ)とは別のブイを使って、海の埋め立てに着手した。埠頭での阻止行動の裏をかくやり方に、上関町祝島の島民らは怒りを強めており、中電の「原発の立地で共存共栄を」との呼びかけを反対派が受け入れる道筋は一向に見えない。【近藤聡司】
7日も早朝から祝島の漁船が田名埠頭へ集結。しかし既に中電は予定地で工事を終えていた。その後、埠頭に現れた中電は「台風に備える」と説明、岸壁近くにあるブイを陸地奥へと移動させた。作業終了を見届け、多くの島民が島へ帰った。
中電は9月中に、別のブイを使うことを検討し始めたという。一方、埠頭に漁船を停泊させた島民たちに「違法な行為をやめてください」とのはがきを1日付で出した。5日付の封書では「違法な行為をやめないと法的措置をとる」との警告書も。島民は「海を守るためで違法ではない」と反発を強めていた。
「上関原発を建てさせない祝島島民の会」の山戸貞夫代表は「中電のやり方に島民は怒っている。県外からの支援もあった今回の阻止行動では、祝島が孤立していないことを示せた。今後もあらゆる手段で阻止行動を続ける」と話している。
〔山口版〕
毎日新聞 2009年10月8日 地方版