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家電製品ミニレビュー

アイリスオーヤマ「緊急地震速報機 EQA-001」

〜8千円で買える、FMラジオを利用した地震速報機
by 清水 理史

地震対策は大丈夫?


アイリスオーヤマの「EQA-001」。FMラジオ放送の報知音と連動した緊急地震速報機だ
 防災科学研究所が提供している「地震ハザードステーション J-SHIS」というシステムをご存じだろうか。

 テレビ番組などでも紹介されているのでご存じの方もいるだろうが、今後30年以内に震度6弱以上の揺れに見舞われる確率の分布図など、一定震度の地震が発生する確率を地図で確認することができるサービスだ。

 あくまでも確率論的な予測なので、必要以上におびえる必要はないかもしれないが、太平洋側の主要地域が高い確率を示す色で塗りつぶされているのを目の当たりにすると、いざというときの対策は本当に大丈夫なのか? と心配になってしまう。

 小さな揺れなら慣れっこになってしまっているという人もいるかもしれないが、近年発生した大規模な地震の被害なども思い起こすと、何らかの対策をしておきたいところ。地震対策には、発生後の避難場所の確認や飲料、食料の保管なども欠かせないが、今から準備するなら、緊急地震速報の受信環境もぜひ整えておきたい。

 そこで紹介したいのがアイリスオーヤマから発売されている「緊急地震速報機 EQA-001」だ。緊急地震速報の受信サービスへの加入や月額料金などが必要なく、設置するだけで手軽に緊急地震速報を受信できる機器になっている。

メーカー アイリスオーヤマ
製品名 緊急地震速報機 EQA-001
希望小売価格 オープンプライス
購入場所 アイリスプラザ(直販サイト)
購入価格 8,780円


申し込みや月額料金は不要

 緊急地震速報は、地震の発生時に震源地近くでとらえた観測値を分析することで、各地への主要動の到達時時刻や震度を予想して知らせるサービスだ。

 現状、緊急地震速報を受信する方法はいくつか存在する。たとえば、OCNなどのサービスを利用してPCや専用端末(電話機など)で受信することができるうえ、最近では携帯電話のメールや待ち受け画面で受信することもできるようになっている。

 しかしながら、専用端末を利用する方法は、端末の購入、サービスへの加入、端末のMACアドレスの登録など、費用も手間もかかるため、気軽に利用することができなかった。携帯電話のサービスも、サービスによって無償の場合もあれば、月額料金が必要な場合もあるうえ、マナーモードにしていると気づきにくいなど、警報として使うのに向いていないこともあり、なかなか手軽かつ実用的な方法がなかった。

 これに対して、アイリスオーヤマから発売されたEQA-001は、申し込みや月額料金なども不要で、しかも大きな音による警報という役割をしっかりと実現できる製品となっている。

本体正面 側面 背面にはACアダプタの挿入口とFMアンテナがある

 仕組みは極めて単純だ。EQA-001は言わば緊急地震速報の検出機能を備えたFMラジオで、あらかじめ設定した周波数のFMラジオから緊急地震速報が放送されると、そのチャイム音を検知して、指定した音量でスピーカーから放送を流すようになっている。

 要するに普段はミュートしている状態のFMラジオが、緊急地震速報の時だけ大音量でオンになるというわけだ。放送を受信するだけなので、申し込みなどは必要ないうえ、料金も発生しないことになる。

放送局と音量をセットして、眠らせておくだけ

 実際の使い方を見ると、さらに仕組みがよくわかる。本体は、ちょうどお弁当箱のような形とサイズとなっており、上部にスピーカー、背面にACアダプタのコネクタとFMラジオ用のアンテナ(ケーブル)が搭載されている。

 寝室やリビングなど、警報を受信したい場所に本体を設置し、電源をつないでアンテナを伸ばしておけば設置は完了だ。

FMラジオを利用するため、上部にスピーカーを内蔵。アンテナも用意されている 底面には、ラジオ局設定設定用のボタンやボリューム調整用ダイヤル、液晶パネルを搭載

 続いて設定だが、これも簡単だ。本体を裏返すと、底面に音量調節ダイヤルと液晶パネル、ボタンが見える。まず、音量調節ダイヤルで音量を最小にしてから、「セット」と書かれたボタンを押す。すると、ミュートが解除され、液晶に表示されている周波数のFMラジオの音声が流れてくる。まさにラジオだ。

 続いて緊急地震速報を受信するための放送局を選択する。付属の取扱説明書に、地域ごとのFM放送局のリストと緊急地震速報を発信しているかどうかが記載されているので、ここから最寄りの放送局を選択する。

 たとえば、東京なら、TOKYO FM、J-WAVE、さらにNHK FMの3つの放送局で緊急地震速報を受信することができる。このうち、もっとも受信感度の良い放送局にセットし、実際に警報が発せられたときに聞きたい音量にセットする。最後に、もう一度、「セット」ボタンを押すと、緊急地震速報を受信するまでミュートで待機するというわけだ。

 なお、NHK FMに関しては、日本で放送されるすべての緊急地震速報が放送されるため、必ずしも自分が住んでいる場所と関係があるとは限らない放送も発せられてしまうので、なるべく地域に密着した放送局を選ぶと良いだろう。

設定の様子。「セット」ボタンでミュートを解除し、放送局を選択。その後、警報を受信するときの音量にセットし、最後にもう一度「セット」を押すと待機となる

携帯電話と組み合わせて利用すると便利

 

寝室などに設置して、第一報をすばやく受け取るのに適している
 幸いなことに、今回の試用期間中は大きな地震が発生しなかったこともあり、本機が動作する様子を実際に確認することはできなかったのだが、要するにラジオ放送が流れるということがわかっているので動作時のイメージはしやすい。

 普段、地震の揺れを感じると、さっとテレビをつけて速報を見るということがあるが、これをラジオの音声で、しかも自動的にやってくれると考えれば良いだろう。寝室などにおいておけば、普段は一切邪魔をせず、いざというときに警報を発してくれるので、なかなか便利に使えそうだ。

 ただし、欠点は速報がピンポイントではないという点だ。冒頭で紹介した通信事業者などが提供する専用端末を利用したサービスの場合、自宅の緯度や経度などの情報をあらかじめ登録することで、ピンポイントの震度と到着時刻を警報として発せられるようになっている。カウントダウンしてくれる端末などを利用すれば、地震発生までに何をすれば良いのかも考えやすい。

 しかし、本製品の場合、あくまでもFMラジオなので、たとえば東京、関東など、地域ごとの情報となるうえ、到達予想時刻も自宅の位置では若干のズレが発生する可能性がある。

 このため、本製品はあくまでも第一報を知らせる警報機として利用するのが適している。細かな情報はわからなくとも、地震発生をいち早く、大きな音で知らせてくれるので、寝ている最中に起きて避難する、火の元の対処をするといったファーストアクションを取りやすい。具体的な震度や到達時刻などを知りたければ、携帯電話などのサービスを併用すれば良いわけだ。

 地震の第一報を素早く知るという意味では、非常に優れた製品と言える。いつ発生するかわからない大きな地震に備えるためにも、1台あると安心できる製品だ。




2009年10月8日 00:00

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