年金記録対策に2千億円要求へ 来年度予算で長妻厚労相長妻昭厚生労働相は7日、15日に財務省へ提出する来年度予算の概算要求で、年金記録問題への対策費として本年度当初予算(284億円)の7倍に当たる2千億円を盛り込む方針を固めた。 約8億5千万件ある古い紙台帳とコンピューター記録の全件照合を急ピッチで進めるほか、「宙に浮いた」記録約5千万件の再調査なども実施し、年金不信を招いた記録問題の早期解決を目指す。ただ、今後の財務省との折衝で金額は減る可能性もある。 民主党は衆院選マニフェスト(政権公約)で、記録問題への対応を「国家プロジェクトと位置付け、2年間集中的に取り組む」として、所要額を2千億円としていた。長妻厚労相は「2年間で2千億円」ではなく、単年度で2千億円計上し、前倒しで進めたい考え。 記録問題が発覚した2007年以降、厚労省が対策に投じた費用は、09年度補正予算を足しても3年間で計1561億円で、これを上回る異例の規模となる。 社会保険庁はもともと来年度から紙台帳とコンピューター記録の照合を始める方針だったが、終了まで10年かかる想定だった。長妻厚労相は「人、モノ、カネ」を集中的に投入し作業期間を大幅に短縮させたい意向。 このほか、社保庁に記録が残っていない「消えた年金」でも、審査基準を緩和して被害者救済を促進する方針。記録ミスの訂正が認められてから増額分が支払われるまでの期間短縮も図る。 宙に浮いた約5千万件のうち、社保庁が「解明済み」としている記録のサンプル調査や、厚生年金の記録改ざん問題の再調査も行う考え。ただ、年金の実務に通じた人材は限られるため、人手を確保できるかどうかといった課題もある。 【共同通信】
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