ウィニー 2審は逆転無罪 著作権侵害ほう助認めず
10月8日10時29分配信 毎日新聞
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大阪高裁に入る金子勇被告(中央)=大阪市北区で2009年10月8日午前9時45分、竹内紀臣撮影 |
1審に続き控訴審でも、違法コピーの拡散による著作権侵害を、金子被告が意図していたのかが最大の争点となった。検察側は「著作権侵害を助長した確信犯」と主張。弁護側は「純粋な技術検証が目的。面識のない不特定多数に対するほう助は成立しない」と無罪を主張していた。
小倉裁判長は「著作権侵害に使うよう利用者に勧めておらず、ほう助は成立しない」と認定。また「1審のように認めると、ソフトが存在する限り、無限に刑事責任を問われることになるので、罪刑法定主義の見地から慎重でなければならない」と、弁護側の主張をほぼ認めた。
1審判決は「不特定多数が入手できるようウィニーを公開し、悪用される認識はあったが、意図したわけではない」としてほう助罪を認定したが、確定的意図は否定していた。
また、ウィニーの技術特性や利用実態についても争われた。1審判決は「応用可能で有意義な技術」として、技術自体の中立性を認めていたが、検察側は「匿名性が高いなど、著作権侵害が目的の技術」と指摘。弁護側は「さまざまな分野に応用可能な技術で、著作権者にとっても利益がある」と反論。控訴審判決も「匿名性は違法視されるものでなく、著作権侵害に特化したものではない。技術的価値は中立」として、1審判決を基本的に踏襲した。
1審判決では、金子被告は02年5月から自身のホームページでウィニーを公開。群馬県の男性ら2人=ともに有罪確定=がゲームソフトなどを無断でネット上に公開した著作権法違反行為を手助けしたとされた。【日野行介】
◆ウィニー事件の控訴審判決骨子◆
・著作権侵害のほう助の成立には、侵害する者が出る可能性があると認識していただけでなく、ソフトを侵害の用途で使用するようインターネット上で勧めていることが必要。
・被告は、侵害の可能性を認識はしていたが、ネット上での発言を見ても、著作権侵害の用途で使うよう勧めていたとはいえない。
・原審のように認めると、ソフトが存在する限り、無限に刑事責任を問われることになるので、罪刑法定主義の観点から慎重に判断しなければならない。
【ことば】ウィニー
利用者が各自のパソコンに所有する映像や音楽などのファイルデータをインターネットを通じて共有、交換するソフト。送信者を特定しにくい「匿名性」と、不特定多数へのデータ拡散を可能にする「効率性」が大きな特徴で、著作物の違法流通を容易にし、暴露ウイルスの出現で警察や原発などの機密情報流出につながった。
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最終更新:10月8日12時6分
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