鳩山首相“友愛授与式”に朝青龍メロメロ

朝青龍（左）に総理大臣杯を授与する鳩山首相

　鳩山由紀夫首相（６２）は２７日、東京・両国国技館で行われた大相撲秋場所千秋楽を観戦し、２４度目の優勝を決めた横綱・朝青龍（２９）＝高砂＝に内閣総理大臣杯を授与した。国連総会などの訪米日程を終え、前日夜に帰国したばかりにもかかわらず、幸夫人（６６）と国技を満喫した首相は官邸で平野博文官房長官に対し、１０月２日にコペンハーゲン（デンマーク）で開かれる国際オリンピック委員会総会に出席するため、日程を調整するよう指示。「１泊３日」の強行日程を軸に検討される。

　１か月前の政権交代に見立てたのか。正面マス席に座った鳩山首相は、優勝決定戦で朝青龍が、白鵬をすくい投げで破った瞬間、幸夫人とともに満面の笑みで拍手を送った。

　土俵上で幕内優勝力士に総理大臣杯を直接、手渡した首相は、９６年初場所の故・橋本龍太郎氏以来６人目だが、自民党以外では初めて。重さ４０・８キロの純銀製の杯を両手で持ち、体勢が崩れかかると、朝青龍が手を添えてアシストした。賞状を読み上げた後、「今日は朝青龍関のお誕生日だとうかがっております。あわせておめでとうございます」とアドリブで言い添えると、場内は拍手喝采。想定外の祝福コメントに気をよくした朝青龍の細い目が一層細くなった。

　土俵上でアドリブ発言をした歴代首相は、これまで小泉純一郎氏（６７）だけ。０１年夏場所で、ひざを負傷して迎えた優勝決定戦で横綱・武蔵丸を下した横綱・貴乃花に「痛みに耐えてよく頑張った。感動した！　おめでとう」と絶叫。０５年九州場所では年間６場所完全制覇した横綱・朝青龍を「新記録、大記録、見事だ！　おめでとう！」と祝福した。小泉氏ほどの派手さはないが、心・技・体の土俵上で、「友愛」の精神を示した。

　その人気ぶりは確かだ。午後５時過ぎ、鳩山首相が幸夫人とともに姿を見せると、観衆は土俵そっちのけで新首相に視線を送った。首相は不安そうに見つめるＳＰも気にせず、近くのマス席のファンたちと握手。首相が手を振ると、観衆も一斉に手を振るひと幕も。観戦前には理事長室を訪れ、武蔵川理事長（元横綱・三重ノ海）にあいさつし、「（本割、決定戦と）２番連続で勝つというのは難しいんでしょうね」と話し、接戦を予想していたという。

　この日、２９歳になった朝青龍は優勝インタビューで「（新首相の）熱い応援のおかげです。素晴らしい舞台で、素晴らしい総理にお越し頂き、ありがとうございます」とコメント。場内がひと際盛り上がった空気を感じ取ったのか「総理はすごい人気ですね。頑張ってほしいと思います」と言い添えた。総理大臣杯授与後は、幸夫人、小沢鋭仁環境相らと両国のちゃんこ店「巴潟」で食事した首相。週明け２８日には、来年度予算編成の方針協議のために党首級初の「基本政策閣僚委員会」を開催する。これから真価が問われていく。