灰色の雨雲に覆われた住宅街に、突如として緊迫した空気が流れた。
「スーパーニュース」によると、押尾被告は7日正午ごろ、東京・多摩市内の実家を出て、警視庁のシルバーのワゴン車に乗り込んだ。その後は警視庁に移動し、任意で事情を聴かれたとみられ、午後3時すぎに再び実家に戻ったという。
押尾被告は終始、派手なバックプリントを施した黒のパーカーを着用。実家出発時はフードを頭からかぶり、うつむき加減で歩いていた。
麻薬取締法違反の罪ではすでに起訴され、初公判も23日に東京地裁で開かれることが決まっている。8月31日に保釈された際には、押尾被告と親交のある複数の人物が保釈保証金を“カンパ”し、約1年前に知人の紹介で知り合ったレジャー産業グループ代表が納付した。
捜査関係者によると、一緒に服用したとみられるホステスの女性が死亡した経緯と薬物との因果関係について、押尾被告は保釈後も数回にわたって事情を聴かれており、今回も同様の内容だったようだ。
これまでの調べなどでは、女性は8月2日午後2時半ごろ、東京・六本木ヒルズのマンションの一室に入り、すでに部屋にいた押尾被告と合流。一緒にMDMAを服用した後とみられる午後6時半ごろ、女性に「手がけいれんし、歯を食いしばってけいれんした」(押尾被告の供述)と異変が起きた。
押尾被告は午後7時ごろに、関係者に「女性の意識が戻らない」などと連絡し、関係者が約40分後に到着。異変から約3時間後の午後9時20分ごろ、関係者が119番したが、押尾被告はこの前後に「怖くなった」と部屋を出たという。救急隊が到着した際には女性がすでに死亡していた。
警視庁捜査1課は、押尾被告を麻薬取締法違反容疑で逮捕した後も、異変から通報まで約3時間が経過するなど一連の対応によって、女性の生死が左右された疑いがあるとみて、保護責任者遺棄致死や過失致死容疑の適用を視野に捜査を進めてきた。
警視庁は今後も継続して押尾被告を事情聴取し、立件できるかどうか判断する方針。関係者によると、この2、3日間で急展開することはないという。再逮捕か否か。そして密室で起きた事件の全ぼうが明らかになる日は来るのか−。