ニコンの新卒採用の場合、技術系は募集職種に直結した専門教育の修得が条件ですが、事務系にはそうした制約がありません。私は大学で日本史を学び、日本古代史を専攻しました。学生時代は大学が行っている発掘調査のお手伝いのアルバイトをし、その中で調査の記録係を担当するうちにカメラが面白くなって、メーカーであるニコンに興味をもったことが志望した動機です。
入社時点では、バイオサイエンスについて何も知りません。そこで手始めに、自分で生物の参考書や顕微鏡の使い方を教える指南本などを買って読むことにしました。会社では製品について設計担当、製造担当に質問し、顕微鏡の扱い方は生物学を研究していた方に教えてもらい、少しずつ専門知識を覚えていきました。1年目の冬には、海外の現地法人のマネージャーを集めて商品化のポイントを英語で20分ほどプレゼンテーションしたことも。日本史専攻ですから英語の実力も知れています。このときも繰り返しスピーチを練習して、やり遂げることができました。人間、必要に迫られると何でもできるものです。
インストルメンツカンパニーには、測定器や半導体検査装置を扱う産業機器分野と、私が所属する生物顕微鏡を扱うバイオサイエンス分野があります。企画は、商品の構想から納期管理までの新商品の全体取りまとめを担当している部署です。営業担当者からの要望収集と取りまとめ、市場動向・競合他社状況・販売実績の整理分析といったデータを整理。これを踏まえて商品の要求仕様・価格・納期を関係部門と協力して明確にし、新商品の採算性検証を行い、製造着手の指示を出し、製造進捗状況や担当製品の発売を管理しています。
この間は欧・米・日・アジアの4地域で新商品の次期開発要求を集めたのですが、全体で上がってきたのが200項目以上。地域ごとに販売方針や要求項目が違い、読み込むためには営業知識や製品知識も要求され、取りまとめにひと苦労しました。インストルメンツカンパニーは多岐にわたる商品を扱っているので、一人当たりの守備範囲がとても広い。大変ですが、そのぶん事務系ながらモノづくりのすべてに関わることができる醍醐味があります。
まだまだ周りの方に助けられることが多いですが、カンパニーの主力商品を自分で企画して結果を残したい。この目標は3年以内にぜひ達成したいと思っています。