宗男氏悲痛「世の無常を恨むのみ」…中川元財務相宅に弔問客続々

　自民党の中川昭一元財務相（５６）の衝撃の死から一夜明けた５日、中川氏の自宅には弔問客が続々と訪れた。初当選時の選挙で同じ選挙区に出馬し、骨肉の争いを演じた新党大地の鈴木宗男衆院外務委員長（６１）が亡きがらと対面し「世の無常を恨むのみ」と号泣した。ほかには鳩山由紀夫首相（６２）らが訪れた。９日に東京都港区の麻布山善福寺で行われる告別式は、中川家と自民党の合同葬になる見通しだ。

　午後５時前。雨が降りしきる中、宗男氏は中川氏の私邸に到着した。約１５分間の弔問を終え、記者団に「（遺体は）眠っているような感じのお顔でした。亡くなったという実感がありません」と声を振り絞った。

　秘書として仕えた中川氏の父で、８３年に自殺した一郎元農相（享年５７歳）に触れ、「世の無常を恨むのみ。天国で中川一郎先生がどれだけびっくりして、（昭一氏を）どんな言葉で迎えるかと思ったら…」と語ると涙があふれた。

　中選挙区時代の８３年の衆院選で宗男氏と中川氏が同じ旧北海道５区から出馬したときから「息子対元秘書」の「骨肉の跡目争い」と書き立てられた。中川氏が亡くなった４日には「話すことがたくさんあった」と号泣した宗男氏はこの日も「確執とは私は思っていなかった」と不仲説を改めて否定した。

　中川家から見れば宗男氏は因縁の相手。出迎えたのは、中川氏の叔父、義雄参院議員（６１）、フジテレビ勤務の長女（２５）と長男（１７）。初当選時から２人の争いに接してきた郁子夫人（５０）は部屋にはいなかったという。

　宗男氏は「虫の知らせでしょうか。３日ぐらい前に激励会でもしないといけないと頭に浮かんでいたんです。残念です」と悲しみにくれた。

　昼前には鳩山首相も弔問に訪れた。黒いネクタイ姿で約５分間、遺族らと面会。この後、記者団に「政治家になろうと思ったのは、祖父の鳩山一郎（元首相）ではなく、中川一郎先生でした」と述べた。

　首相の祖母が亡くなった際、中川一郎氏と初めて会い「こんな人間味のある先生がいるなら自分もやりたいと思いました」と政治家を志すきっかけになったという。

　選挙区が同じ北海道の間柄。「去年、焼き鳥屋で中川氏と政治談義したことを懐かしく思い出し、冥福を祈りました」と述べ、中川氏の死を悼んだ。

　弔問客は続々と訪れ、中川氏と同期当選組で、麻生内閣で一緒だった甘利明前行革担当相は「現実として受け止めることができません」と号泣。ほかにも中川氏の盟友だった自民党の細田博之前幹事長、石破茂政調会長、石原伸晃前幹事長代理、安倍晋三元首相夫妻、原口一博総務相、渡辺恒雄読売新聞グループ本社会長らが弔問した。

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