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鳩山政権が新設した行政刷新会議(議長・鳩山由紀夫首相)の議員11人が6日決まった。税金の無駄の洗い出しが喫緊の課題で、一つ一つの事業の必要性を議論し是非を判断する事業見直しの新手法、「事業仕分け」の発案者である加藤秀樹・構想日本代表が事務局長を兼ねる。10年度予算編成に向け、子ども手当などの独自政策に必要な7・1兆円の半分近くを絞り出すことを目指す。このほかにも公益法人改革、「地域主権国家」の実現といった数々のテーマをこなすため、稲盛和夫・京セラ名誉会長や片山善博前鳥取県知事など、知名度が高い各界の「大御所」からなる陣を敷いた。【岩崎誠、野原大輔、小山由宇】
仙谷由人行政刷新担当相は6日夕の記者会見で「行政組織にたまった膿(うみ)の大掃除、事業見直しが極めて重要な段階にさしかかっている」と強調した。同会議は今後、全公益法人の業務内容を精査し、来年3月までに廃止や存続の是非を決める。
「(行政刷新会議に)入ってくれませんか」。首相が稲盛氏の秘書に電話したのは今月4日。「会議でやることは新聞で見て知っている程度」(稲盛氏)だったが、稲盛氏は一晩おいた5日、首相側に受諾の意を伝えた。
稲盛氏は小沢一郎幹事長との親交が深く、民主党支持を鮮明にしてきた。鳩山氏は9月8日、東京都内の京セラ事務所に稲盛氏を訪ね「有識者的な立場で政権を支えてほしい」と協力を依頼し、行政刷新会議委員就任への「布石」を打った。
稲盛氏は「白羽の矢」が立った理由について6日、京都市内で記者団に「自分の哲学を尊敬してくれている人が(民主党内に)いるから」との見方を披露。「一国民として人生観から判断してアドバイスしたい。かねて無駄が多いと思っていた」と抱負を語った。
政府は稲盛氏らには、企業統治のノウハウを生かしてもらう考え。片山氏はダム事業の停止など、公共事業見直しに実績がある。草野忠義・元連合事務局長には、公務員制度改革などへの手腕に期待を寄せている。
また6日付で財務官僚を多く配置する補佐体制も整備した。宮内豊・財務省理財局審議官を事務局次長に、財務省主計局予算執行企画室長の吉井浩氏を事務局参事官に起用。仙谷氏の秘書役にも主計局出身者を置く。
一方で、鳩山政権発足当初は行政刷新会議と「両輪」をなすとされた国家戦略室は、体制が整わない。5日には松山健士・内閣府政策統括官ら2人が局に格上げする関連法案整備の担当に決まったが、松山氏らの事務局での立場は未定だ。
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■行政刷新会議のメンバー
鳩山由紀夫首相(62)=議長
仙谷由人行政刷新担当相(63)=副議長
菅直人副総理兼国家戦略担当相(62)
藤井裕久財務相(77)
原口一博総務相(50)
平野博文官房長官(60)
稲盛和夫京セラ名誉会長(77)
茂木友三郎キッコーマン会長(74)
片山善博前鳥取県知事(58)
草野忠義元連合事務局長(65)
加藤秀樹「構想日本」代表(59)=事務局長
毎日新聞 2009年10月7日 東京朝刊