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鞆の浦への思い 宮崎駿さん会見詳報(5/8ページ)

2009年10月2日1時30分

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写真:判決後、記者会見で語る宮崎駿監督=1日午後、東京都小金井市のスタジオジブリ、広津興一撮影判決後、記者会見で語る宮崎駿監督=1日午後、東京都小金井市のスタジオジブリ、広津興一撮影

◇不便を忍んで生きる

 (記者)生活しにくいということで、開発を望む声もあるようですが。

 僕が住んでいるところはとても不便なところで、迷い込んできた車に脱出口を口頭で言うことは不可能なところなんです。袋小路とかたつむりの奥みたいなところがいっぱいあるんです。ものすごく不便ですよ。それを一気に解決することは不可能ですよ。

 不便を忍んで生きるんですよ。それをひとつの方法で全部解決するなんてのは錯覚でね。そういう哲学を持たなきゃいけないんじゃないかと思うんですよね。

 僕はあの町は良いところがいっぱいある町で、確かに車も通って人も歩いてるけど、それは僕らのところでもそうですよ。あとは車が遠慮して通ればいいことで、車が遠慮して走ってますよ、鞆の浦は。だから何も困ってないと思いますよ。

 渋滞するっていうけど、そのくらいの渋滞ここらへんでいくらでも起こってますよ。

それを道路を造って橋をかけて渋滞をなくせば幸せになるかというと、結局、町の人が全部車を捨てれば別ですけど町の中の駐車場から車が出てくるわけで。そんなことしないでしょ。不便だから何とかしろという人は。あの町は不便だから住みやすくなっていると僕は思いますけどね。

 要するに公共工事で何か劇的に変わるという幻想や錯覚を振りまくのはやめた方がいいと思います。

 そりゃ不便ですよ。不便だから愛着もわくというのが人間の心だから。便利で静かで穏やかで落ち着いているなんてとこないですよ。便利はうるさいですよ。駅の横のマンションのてっぺんとか。不便も良さにつながるんですよ。僕は何も困らなかったですけどねあの町で暮らしていて。

 買い物にも小さな店がいくつも残ってるし。大きな店いかなくても小さな店なら顔もわかるしね。何も困らなかったですし。文房具屋さんもあるし下着も買ったし、品数は少なくても迷わなくてすむから。「紳士物ください」で終わるからいいなと思いました。おいしいコーヒーの店も何軒もありましたしね。

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