お産で重い脳性まひになった子どもの介護費などの負担を軽減するため、今年1月に始まった産科医療補償制度で、9月末までに計5件が補償対象として認定されたことがわかった。制度を運営する「日本医療機能評価機構」は今後、原因を分析した上で、最終結果を保護者と医療機関に報告。再発防止委員会での審議後に公表する。
お産に関連して起きる脳性まひに絞った公的な医療補償制度は世界に例がなく、当事者となる患者、家族の救済だけでなく、産科での医療紛争を減らす目的がある。
同機構などによれば、8月下旬以後、全国の分娩(ぶんべん)施設を通して5件の申請があった。いずれも今年1月以後に生まれたゼロ歳児。
9月下旬に初の審査委員会が開かれ、いずれの事例も出生児の体重や障害の程度などが補償対象の条件を満たすと認定された。認定を受け、保護者には子どもの看護、介護費用として、一時金600万円と年120万円(最長20年間)が支払われる。
この制度は09年以降、原則として33週以上、体重が2千グラム以上で生まれた子のうち、身体障害者1、2級相当の障害がある子どもが対象。年間の申請数は500〜800人と試算されている。(権敬淑)