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日本ハム サヨナラ勝ちでリーグ制覇

 選手らの手で高々と宙を舞う日本ハム・梨田監督
 選手らの手で高々と宙を舞う日本ハム・梨田監督

 「日本ハム5-4西武」(6日、札幌ド)

 日本ハムが2年ぶり5度目(東映時代を含む)のパ・リーグ王者に返り咲いた。2位楽天がロッテに敗れた時点で優勝は決まっていた日本ハムは延長十二回、金子誠の犠飛でサヨナラ勝利で花を添えた。今季はインフルエンザの影響で主力が続々と離脱。さらにシーズン終盤にはエースのダルビッシュ有投手(23)の故障と、苦しい時期もあったが、選手層の厚さで乗り切った。梨田昌孝監督(56)は監督として2001年の近鉄時代以来、2度目のリーグ制覇。梨田日本ハムの次なる目標はもちろん、3年ぶり3度目の日本一の座だ。

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 苦難を乗り越え、宙に舞った。ちょっとだけ“ブサイク”に、そして感動的に。1、2、3回-。「(体重が)重くて失敗した感じ」とジョークを飛ばした梨田監督。そして叫んだ。「ファイターズのファンは宇宙一です!!」。「世界一です!」のヒルマン前監督を上回る、ファンへの最大級の感謝の言葉だった。

 決して楽な優勝ではなかった。8月18日。主軸のスレッジらが新型インフルエンザに感染。病禍は瞬く間に広がり、野手はわずか12人。この日からチームは今季ワーストの6連敗。「また何人かかかってるかな」と寝付きの悪い夜が続いた。

 “インフル禍”は約1週間で治まった。だが、離脱しなかった選手の疲れ、離脱した選手の体力低下は隠せない。チームは9月に入っても低空飛行が続いた。2位とのゲーム差は最大7から9月8日には2・5まで接近。さらにダルビッシュも離脱した。それでも「なるようにしかならん」と取り乱さなかった。

 2年契約最終年だった今季、大決断をした。人気抜群の森本に代わり糸井を中堅手に抜てきした。悩みに悩んだが「足、肩、長打力も含め糸井が入るとだいぶ変わると思った」と信念を貫いた。結果、糸井は中心選手に成長した。

 同時に森本の奮起も促した。春季キャンプ前日の1月31日。「大事なことは自分の言葉で伝え、その時の選手の表情とかを頭に置く」というポリシーのもと、その日が誕生日だった森本を監督室に呼びレギュラー白紙を告げた。その時、悔しさをむき出しにした森本。だがチャンスはしっかり与えた。それに森本も応え、後半戦は左翼のレギュラーとして働いた。

 昨季はチーム3年ぶりにリーグ優勝を逃したが、フロントに補強要請はしなかった。交流戦中、先発投手不足に悩み山田GMが補強できなかったことを謝罪すると、指揮官は「気にしないで下さい。僕は母子家庭で育って、小さいころデパートに行っても母親にこれが欲しい、とは言えなかった。だからおねだりはしない」と話したという。

 近鉄監督時代は投手力が弱く「バントでアウトあげるのもったいない」と「いてまえ打線」を作った。今季は打線の力も目立ったが、基本的には投手中心の守り勝つ野球。どちらかが理想の野球というわけではない。「いる選手のいいところを最大限生かせばいい」という考えが基本軸。戦力によってどんな野球もできる。それが梨田流。選手の特性を把握しているからこそ、この日もベンチ入り野手16人中15人を使ってサヨナラ勝利をもぎ取ることができた。

 冷静さ。決断力。気遣い、柔軟性。全く違うチームでの2度の優勝を導いた梨田昌孝が、名将への道を歩んでいる。

(2009年10月6日)





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