接見での取材ノートを手に、実名報道について元少年とのやりとりを説明する増田美智子氏。右は出版社の寺沢有代表=6日午後、東京・霞が関、福留庸友撮影
出版社側は東京都内で3人が記者会見した。著者の増田美智子氏は手元にある取材ノートを見ながら「『(実名について)ぼくは書いてもらってかまいません』と書いてある。これは09年3月27日の記述だ」と経過を説明。今年の8月に最後に元少年に会うまで、それを否定することはなかったという。また、「本人が原稿を見せろとは言ってないか」との質問にも、「本人から打診もない。それを頼まれて断ったこともない。きょう、弁護士に聞いて驚いた」と答えた。
同席した堀敏明弁護士は「著者が示したように確実に本人が承諾している。それを弁護士側が納得できない点があるのか。今回の申請は理解に苦しむ」と述べた。6日夕まで広島地裁からの連絡はないという。
4千部を7日に出すインシデンツの寺沢有代表は「(元少年側の弁護士は)取材を拒否しておき、一方で最後に『自分たちに本を読ませろ、でなければ仮処分を申請する』というのはどうなのか」と主張。また、「こんな大きな話になるとは思わなかった」とも述べ、一部の週刊誌に実名が出たことや今でも閲覧できることなどを指摘した。